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読書アクセス
「充実した読書につなげられるような案内作り」をテーマとして、多読のビジネスマンが本の紹介や比較をしているWebサイト
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「思考スピードの経営」(ビル・ゲイツ著)



マイクロソフト社を創業した、ビル・ゲイツの作品。20世紀末に記された本ながら、さすがにデジタル時代を作り出したリーダーの1人というべきか、内容は2019年の今も有益だ。多くの企業が、本書に記載のいつでもすぐ必要なデータを届けてくれる情報システムの構築に、現在進行形で取り組んでいる。
ビル・ゲイツによればデジタル時代の特徴は次のようなことだ。
・史上初めて、あらゆる形の情報-数字、文章、音声、映像-がデジタル形式で表現されるようになり、それをどんなコンピューターでも蓄積、加工、転送することが可能になってきた
・史上初めて、標準のソフトウェアのプラットフォームと標準のハードウェアが組み合わさって規模の経済を創出出来るようになり、どんな規模の会社にも強力なソリューションを安い値段で与えてくれるようになった

このデジタル時代を、企業や個人がどう活用していけるのか、ビル・ゲイツの視点から述べてくれているのが本書である。


(作品の見解)
デジタル時代に、企業は統合化された情報の流れを実装する。これはデジタル・ナーバス・システムというべきもので、洞察力と協働をもたらす。
このことは、ビジネスに必要な三大要素(顧客や提携業者との関係、従業員、業務プロセス)を全て変革する。
その変革は特に、
・消費者や企業との取引のデジタル移行
・社内の知識や情報の管理方法のデジタル移行
・デジタルでの自動化や効率化、顧客関係強化
という三つのアプローチで進む

(細かい内容)
読んで頂けるとわかるが、上記は序論をまとめただけだ。以降約600ページにわたり、具体的な変化(使うツール、企業の成しうる工夫、人事の変化、ライフスタイルの変化)やあるべき対応策、実例(マイクロソフト社を含む)を伝えている。
ツールはもちろん、その後色々な企業が出てきて強化してきた。(Googleもこの本出版の後)
しかし考え方は、今の企業がIT戦略として説明するようなものを既に予見している。

(比較、参考)
デジタル時代を知ることについて、他の本だと、デジタル時代の経営をGoogle社長エリック・シュミットが説明する『How Google Works』が優れている。
文化やとるべき戦略など、デジタルサービス創出側の企業目線から述べているのがエリック・シュミット、その顧客としてデジタル化にとりくむ企業の目線から述べているのが本書という整理ができる。
いずれも400ページを超える作品なので、他にもっと軽い本を探すとすれば、大前研一氏がデジタル時代の戦略について述べたいくつかの本を読むことで考え方をいくつかおさえられると思う。
Web記事で言えば、デジタル化と企業の関係を述べているのは下記が優れていると思っている。

https://meti-journal.jp/p/38
冨山和彦氏が、わかりやすく具体例を出しながらデジタル化の威力を説明している記事

https://japan.zdnet.com/article/35108430/
デジタル化サービスの第一人者、マーク・ベニオフ氏が考えるプラットフォーム化の力、教育の高度化の必要性が述べられている

(その他)
https://blog.goo.ne.jp/kazunotesu
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http://hotbrowncoffee.jimdofree.com/
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http://topicvision.jugem.jp/
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「Principles」Ray Dalio著


20代でファンドBridgewaterを立ち上げ、それから40年間投資で成果を出し続け、今や世界最大のヘッジファンドにまで育て上げた人物の意思決定の理論書。
最近では、2018年にヘッジファンドが全体としてマイナス成績を出すなか安定的に14.6%の運用益を出したことで、意思決定の優秀さを改めて注目されている。

本書は2017年に発売されているものの、現時点(2019年2月)でも残念ながら英語版しか存在しない。Kindleで読むと分からない単語をタップするだけで教えてもらえるので、そこそこの英語力でも最後まで読みきることが出来る(読み進むにつれて英語力も上がる)のでおすすめだ。



(内容)
①著者の投資家・経営者としての人生の歩み
②人生の出来事に対する意思決定理論
③事業運営に対する意思決定理論
の3部に分かれている。

①では、意思決定の原則をなぜ自ら考えて持っておくべきか、そしてDalio自身はどのような原則を現在に至るまで作り出してきたか紹介されている。

②でテーマにしているのは、どのような人にも役立つような「人生の出来事や他人との関わり方」である。ちなみに著者は投資家であるものの、期待値計算の話などまでは出るが、具体的な投資先銘柄の選定方法までは話さない(もしもどのように株を買うのが得か、という話が聞きたいならこの本ではなく、ピーター・リンチの本などを読むのが良いと思う。)

具体的な原則は多数あるが(本はkindleベースで500ページを超える)、
・自らが誤っている可能性を認識し、オープンマインドで広く優れた見解を集めること
・根拠をもって考えた内容については明確に主張して見解をぶつけること
等が挙げられる。それぞれに説明やエピソードがついてくるため、理解が深まる構成である。
また、分析を深めていく方法なども述べられている。
そしてこれらは、世界有数の成績を挙げるブリッジウォーターの社内でも基本的な動き方のルールとして活用されているという。

③では、②で述べた内容をビジネスマンの振る舞いとして言い換えながら、人と文化で構成される組織がいかに良い場所となるか追究されている。
これに関連して、社内会議の様子がTEDスピーチの中でほんの少し本人によって公開され説明されている。20分もない簡潔にまとまったものでお薦めだ。
https://youtu.be/HXbsVbFAczg

(比較・特徴)
語り口は理論的で、人間関係から意思決定全般まで網羅する。
回顧録の要素があり、生き方まで含めて話す自己啓発の要素があり、働くことへの活用を述べておりビジネス本としての要素があり、現実のより正確な理解を追究する哲学書としての要素もある。非常に読み応えのある、優れた一冊に出会えたと感じている。


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(番外)賃金の推移 ; Ray Dalioの見解


日本の統計の問題として、賃金の動向調査に不手際があり、統計が正確でなかったことが話題となっている。今後はおそらく正確な値を改めて取得して、統計作成体制を考えて、一件落着となるのだろう。
なぜ大企業の調査を行わないことが続き得たのだろうか、というポイントに調査が向けられ、何か組織管理の話で進展もあるだろうが、統計の内容そのものにはあまり目を向けられず済まされていきそうな様相である。

賃金の動向については、アメリカでは内容的なところで問題であると考えられている。
次の図は、世界最大のヘッジファンドを運営するファンドマネージャー、レイ・ダリオ氏がまとめたもので、上位と下位の伸び率の違いを整理している。

20190210125440706.jpeg


ここから分かることは、技術革新の恩恵を受けているのは上位のみであり、富の寡占の拡がりである。以下がその富の分散だ。

201902101520337af.jpeg


さらに、富の寡占については上位0.1%が多くを持つと言われるが、これについてもダリオ氏がデータを提供している。
20190210122141e72.jpeg


富の寡占は社会不安を引き起こしてきているという。レイ・ダリオ氏が著作『Debt Crisis』で述べるところでは、かつて起きたユダヤ人迫害も戦争も、社会不安をコントロールできなかったことが契機となって起こっている。
僕の理解だと、これを未然に防ぐのは
・累進課税や様々な税控除を通じた直接的な富の再分配
・教育の無償化拡大やインターネットでのオンライン講義の拡大、テレワークなど様々な働き方の実現などによる富の獲得機会の拡大を通じた間接的な富の再分配
であり、取り組まれている施策も数多い。
レイ・ダリオ氏はその動きを不足とみて、社会不安の高まりを他国への非難や政権の独裁的な振る舞いに感じ取り、数年内に問題はますます大きくなると予測しているのだ。
ヘッジファンドは金融環境の動きで影響を受けるため、このように常にマクロ統計に分析を加えている。
国内外の統計を分析したときにどのような課題が浮かびあがるのか、本サイトの番外編でも定期的に扱いたいと思う。社会不安を可能な限り回避することは、感情的な争いを回避し、日常を豊かにして穏やかに読書したりする環境に不可欠であると思う。

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(番外)旅先の読書


読書するとき、快適な環境で楽しみたい。自宅もカフェも快適だが、リラックスできて本を読んだりノートに今後など考えごとをするのに、本当は旅先はすごく良いのではないかと思う。

個人的には、思い出深く快適だった場所に一人旅をして、静かに本を読んだり考えごとをする時間を作ったりしてきた。
それもお金がないときで、夜行バスでわざわざ遠くまで旅に出ていた。このようなイベントの良さの1つは、新鮮さによって時間が彩りを持つことだ。バスに乗りに行く途中も、乗っているときも着いてからのあらゆる時間も、活発に過ごしていた。
・スマホで旅先の街の産業を調べ、人々の生活の様子を想像した。
・定量的に想像した後には、最近どんな感情で過ごしているのかSNS等で調べた。
等々

思い出は印象深ければ何でも良いと思う。自分は短期間その場所で過ごしたことがあり、きれいな女の人と少し話したとかだった。
他にも、感情移入して読んだり観たりした大好きな物語の舞台でも思い入れの強い時間を過ごせると思う。

考えごとをして、これからどんなことをするか整理すると、少し強めに前に進めるような気持ちになる。
だから、一人で過ごす休みがあったら、たまには読書時間を旅先で持つことがお薦めである。







「IGPI流経営分析のリアルノウハウ」冨山和彦 著


本書は、外資系戦略コンサルティングファームをへて、ベンチャー企業に勤め、政府系機関で様々な企業の再建に手腕を発揮し、起業して複数の会社を経営し、政府委員も務めている…という著者が、経営分析して戦略を立て直すときの方法論を述べたものだ。
財務諸表を起点としつつも、さらにそこから現場でどこに注意すると的確な診断が出来るか、その診断を踏まえて企業ごとにどんな時間軸で計画を立てるか等につき細かくアドバイスが述べられている。近頃流行りの「決算書の読み方」系の書籍と同じ知識を得られる一冊でありながら、実績ある経営分析のプロが深堀りを加えている高級品だと言える。出版は2012年だが、何年たっても読む価値のある本である。

[見解]
企業の経営を立て直すには数年後の業界の姿と事業特性をふまえた勝ちパターンを想定して事業の構造を考える必要がある。それと共に、赤字があるのであれば情報を現場にも開示し、即効性のあるコスト削減を現場と話しながら細かく積み重ねることが最初に必要である。
この根拠は以下の通り。
・将来に向けてのコアビジネスとそうでないものを分類し、戦略的な取り組みを出来ていない事例が多い
・赤字企業は資金繰りから存続が緊急事態であり、コスト削減をしてキャッシュの積み上げを図ることは急務である
・現場と協力する際には「現状・目標・各施策とその効果の見込みを共有して一緒に考える」という姿勢でアイデアを募ることで施策効果を最大化できる

そして、勝ちパターンの策定においては、規模の経済が効くビジネスモデルなのか、スイッチングコストを高めやすいビジネスモデルか、等の観点を持ち出して詳細に策定しなければならない。

[比較と特徴]
実際のコンサルタントと経営陣との会話の抜粋など、臨場感のある記載により事例の紹介がなされており、詳細の理解も深まる内容となっている。
現場を見て計画を立てる、目標と現状との差分をコスト削減と抜本的改革の施策により解決していく計画を立てるなど、基本的な流れは大前研一氏の企業参謀およびその要約リニューアル版(http://kazunotesu.jp/blog-entry-80.html?sp)と変わらない。
本書の分量は企業参謀より簡潔でリニューアル版より厚めだ。

ただし、本書の内容は実際の事例にそった細かさが特徴的で、一般的な本の事例よりも分かりやすいと思う。同じ化粧品事業でも企業によって勝負どころが違うということを仕組みから説明するなど、リアルのタイトル通り本格的である。
事業の計画を立てるときに助けとなりそうな一冊だ。
[参考となる他の人々のサイト]
https://meti-journal.jp/p/38
経済産業省にある2017年7月のインタビュー記事。今後の産業界全体の方向性と日本のとるべき方針について述べている。

https://www.axiom.co.jp/column/sp/igpi2015
本書のタイトルにもあるIGPI(経営共創基盤という会社の略称)の事業について、社長である著者がインタビュー形式で説明している記事。

~~~~~
http://amzn.to/2pnYcqg
事業運営論:事業運営や未来予測を反映するポイントについて整理した本。

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無料で知見を磨くのに便利そうなサイト
「世界のエリート投資家は何を考えているのか」アンソニー・ロビンス著


アメリカで活躍する実業家・心理的なコーチングに長けたスピーカーであるアンソニー・ロビンスが投資家を歩いて回り「一つ投資のアドバイスを子孫に残すとしたら何か」と問いかけて作り上げた、資産増加の方法に悩むとき有益な本。


(内容)
より多くの個人が金融業界で最高クラスの方法論にアクセスして成功できるように記した、と述べられており、その内容は貯金から分散投資の考え方まで一連の動作をカバーしている。
また、心理的なコーチングに長けた実業家だけあって、印象的なエピソードを散りばめて
「貯金に決意して取り組むこと」
「資産価格の下がるリスクに備えること」
といった当たり前の示唆に深みを与えている。

主なメッセージは、早くから貯金に決意して複利運用のメリットを享受すること、変動の少ない資産での運用を増やして資産価値が減ったときの心理的負荷を抑えることだ。

(比較)
お金に悩む人へ語りかける本としては、マネックス元CEOの松本大氏の「お金という人生の呪縛について」(http://kazunotesu.jp/blog-entry-106.html?sp)という本もある。
こちらは資産運用で守り抜くことよりも、マーケットの構造や働くことを通じて成功を勝ち取ることに解決策を見出している。
貯めて殖やし解決したいと思うのか、広く働いて成功して解決したいと思うのか、人それぞれ、その時々の感情にもよって変わることと思う。
気分にあった本を読むのがおすすめだ。

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「困ります、ファインマンさん」R.ファインマン著


この作品はノーベル物理学賞を受賞しており数々のエピソードでも知られるリチャード・ファインマン氏の回顧録である。また、講演なども収録され、世界的に優れた科学者のものの考え方を知ることができる。

「ご冗談でしょう、ファインマンさん」という著作のエピソードは人柄の出た笑えるエピソード中心となっているが、本作はファインマン氏の恋愛と結婚生活、ロスアラモスの原爆開発プロジェクトやNASAのスペースシャトル事故調査委員会に携わったこと・そこから悩んだ末に出てきた考え(講演)が述べられており、作品の雰囲気が異なる。
また、「ご冗談でしょう~」は読みやすさからか本屋でもよく見かけるが、本書はあまり見かけない。しかし両方読んだ感想を言わせてもらえば、本書も(むしろ、本書の方が本格的に)人柄の伝わる記載が収められていて、加えて問題に対処する考え方や科学技術への洞察があり、面白い本である。



[ファインマン氏の洞察を数点紹介]
・NASAのスペースシャトル事故であるチャレンジャー号事件は1986年に起きたロケット打ち上げの失敗で、アメリカの国威に関わる大事件であった。
この調査と問題解決のために組まれた委員会は当然各界のトップクラスの有識者をそろえたメンバーであり、ノーベル物理学者であったファインマン氏もその一員であった。
しかし業務の下調べを行い、現場まで見にいって現場の人にヒアリングを行う者はファインマンのみで、問題解決として様々な考えがそこから出てくる。
一例を挙げるとすれば次の文だ。
「こっちは理論的に起きる可能性のあることに基づいて質問をしているのだが、作業員の連中から見れば、僕は彼らの扱っている技術的な問題がツーカーで通じる相手に見えるわけだ。
工員たちはみるみるくつろいできて、組立作業で改良できる点などの、いろんな思いつきをしゃべりはじめた。」

理論物理学者であるファインマンは、問題となりうるポイントを仮説としておさえてあり、調査に乗り込む前に専門家を集めた1日がかりの勉強でドライブをかけた知識をもとに質問を進めていたのだ。単なる論理でなく、現場に活きている知識を理解していることは信頼関係を作り出す。
誇りをもって働いている職人気質であればあるほどそうだろうと思う。
全文は英語で、https://science.ksc.nasa.gov/shuttle/missions/51-l/docs/rogers-commission/Appendix-F.txt
に収められている。

・本書は「科学の価値とは何か」という章でしめくくられる。ファインマン氏は理論物理学の優秀な若者として、原爆開発に携わり、うちひしがれ、1955年にもととなる講演を行った。
「科学があれほどの破壊をもたらしたのを目のあたりに見た僕は、自分がこれほど愛し、これほど全身全霊を打ちこんできた科学というものの価値とは、そもそも何なのか?という疑問につきあたった。僕は是が非でもその解答を見つけなければ気がすまなかった」という序文。
科学の価値として氏の述べていることのエッセンスを僕が一言でまとめるなら、それは「未来に選択肢をより多く残すこと」である。
もっというなら、科学があったことで人の想像力も実現力も高められてきた。科学の追求は知識への誠実さをもととしており、その成果の確立は民主主義の確立とも時期が重なるという。
「着実に進歩を重ねてゆくためには、自分の無知を悟り、疑問の余地を残すということ、これこそが最も重要なことであると私たちは学んできました。」
科学に疎い人でも、本書は本当に楽しく読める。僕自身文系だったが、本当に楽しかった。おすすめの本だ。

(参考になるサイト)
YouTubeに、ファインマン氏の業績とインタビューをまとめている動画がある。但し英語だ。
https://youtu.be/LyqleIxXTpw



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「国家はなぜ衰退するのか」(ダロン・アセモグル他著)


社会制度と経済発展の関連性について、世界の歴史をひもときながら究明している名著。上下2巻で600ページほどで、多くの事例が整理整頓されている。
論文のように理論がずらずらと並べられているのではなく、そこに存在した人物のストーリーにも言及しながら説明を進めている部分もあるなど、受験勉強の世界史よりも面白い。しかも現代社会の経済の様々な現象を世界トップクラスの大学教授が問い直している作品なので、高校生からおすすめである。


(見解)
著者の見解は、既存権力層の不正のない、人々の政治権力が幅広く認められた社会が経済発展に必須だという一点にある。経済成長の軌道に乗らない国を観察して、経済学者である執筆陣が辿り着いた結論が、努力に応じて収益を得られる公正な経済ルールの確立だったのだ。
そして、このような大勢にとっての最適化を続ける社会を、「多元的民主主義」と呼んでいる。
多元的民主主義社会であるためには民主主義政府による権力監視が機能することが必要であり、
民主主義政府が機能するためには、人権思想が広く普及することが必要なのだ。

(内容)
多元的民主主義社会でないところでどんなことが起きてきたのか、社会の変化が起きたときにどんな経済の変化が起きたのか、それら歴史上の例を示しながら、その見解の根拠を列挙している。
変化の例として、フランス革命、明治維新といった近代史の出来事から、ヴェネツィアの法制度改革、中世農地制度といった過去の話、南アフリカの二重経済やエジプトの革命といった20~21世紀の話まで扱っている。

最大の事例は産業革命を成し遂げたイングランドと、それを可能にした名誉革命(1688)だ。
絶対王政から議会主導へと権力の移行が起きたとき、取れるだけ税金をかけたり専売許可にしたり所有権を制限したりと王家に利益をもたらす社会制度へのインセンティブは失われ、
代わりに議会と関わる国内全ての事業者の利益を追求するべく所有権の保護や専売の廃止、公正な競争のルールが持ち込まれたことで、
事業者がお金持ちから資金を調達してどんどん新たな事業に乗り込む土壌が出来たのだ。それがその後の西欧文明の優位を作り出した一つの大きな要因なのである。

(比較)
事業環境に影響を与えるものとして技術に光をあてている作品にはケヴィン・ケリー氏の著作など最近いくつかの名著があるし、政治制度についても多くの本が出されている。後者に関しては、本作が最高のものと思う。急速な技術の進歩や政治制度の不安定を背景にこれらを扱う本が多く出てきているが、本書を読めば他の政治制度系の本は網羅出来るのではないだろうか。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%A9%E5%88%A9%E3%81%AE%E7%AB%A0%E5%85%B8
権利の章典:名誉革命で作られ、今もイギリスで有効な法文。名誉革命の性質を示している。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/
日本の規制改革に向けた政府のサイト

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「スタートアップウェイ」エリック・リース著



シリコンバレーの流儀、世界最先端のIT大企業の働き方、勢いのあるベンチャー企業の事業に対する考え方、といった類の話の総まとめができる優れた1冊。
著者であるエリック・リースは自身もベンチャー企業創業やベンチャー投資を行ってきた経歴をもち、さらにはその考え方を整理して世界的な大手企業にコンサルティングをする理論家である。



(内容)
成功するベンチャー企業に多く見られ、且つ現在の企業に多く不足が見られるのはアントレプレナーシップである。
アントレプレナーシップは、スピードをもってユーザーの考えていることを把握し、必要とされる商品を作り出す姿勢である。
【アントレプレナーシップの特徴】
・本格的に作り出す前にユーザー候補たちと話す
・模型で良いからイメージの湧くものを持っていって話す
・これはいける、というフィードバックが出るまで模型トークを繰り返す(無理そうなら企画から出直す)
・上記のサイクルを回せるように人事評価、予算管理、法務といった本社機能のプロセスを組み立てる

さらに、以上の特徴が実際にどのように機能して事業を改善するのか、政府機関や企業の実例をいくつも挙げて説明している。

(比較・関連情報)
企業は顧客をよく知るべきだ、というメインメッセージは定理のようなもので、例えばドラッカーの作品でもチェンジ・リーダーの条件(https://amzn.to/2Rs1BlE)などで話されている。
しかしこの本のように具体的な取り組みを体系的に説明している作品は無い。これまでビジネス本は何冊も読んできたが、取り組みの体系的説明は初である。
クリステンセン教授のジョブ理論(https://amzn.to/2RpG4dC)はユーザーを考える視点として新しいが、それを組織としてどのように確かめて事業化するかという視点は記載できていない。
スピード感をもって新しい事業を軌道に乗せるという目的意識を持って読むなら、本書は最良の1冊となるはずだ。

(見解)
すぐに動いて試す、というアクションは、特に本を読んだりじっくりインプットを集めて勉強してから何かを成し遂げる、という用意周到スタンスが当たり前になっているような人々にとって忘れてしまいがちな選択だ。
読書サイトである当サイトを訪れてくれる皆さんも、おそらく世間全体でみて、用意周到スタンス側の人々だろうと思われる。もしも中々動き出すことが出来ていないと感じる方は、大企業でさえ試験的に目標へ向けて動き出すことが力になる、という事例を挙げるこの本を新鮮に感じるのではないかと思う。

(リンク集)
https://blog.goo.ne.jp/kazunotesu
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「大変化~経済学が教える2020年の日本と世界」竹中平蔵著


日本の経済政策立案の主要メンバーとして活躍してきた著者による、2020年までの展望。
2020年というのはもちろん東京オリンピックを意識してのもので、この一大イベントを日本成長にいかに役立てるか、その施策を述べている。
あわせて経済社会の変革がどのように起こると予測するかを解説しているため、読者にとっては自身の行動指針になるような本となっている。

(見解)
日本にはイノベーションを起こさなければ成長できない時代が来る。そのとき、英語が出来たり仲間と連携することが個人にとっての戦力となる。施策としては、三大都市圏をリニアでつないで連携を深めること、再生エネルギー技術開発を後押しすることをしていく。また、農業や観光業について規制改革を進めて競争しやすくする。
働き方改革は、雇用制度の基本を変えて、人々が専門能力によって色々な組織を動きながらプロジェクトを進める働き方の社会になるまで行う。
社会保障は、富裕層高齢者に渡る支出を止めて若者へと政府支出を移すような施策を打つが、富裕層の努力は認め、課税は伸ばさないようにする。

(比較と解説)
経営者やコンサルタントの本と比べ、実務というより政策立案の目線からこれからの成長に向けた話を展開している。その一方で、学術の本と異なり今後数年を射程とした具体的なメッセージも出ている。
働き方改革の話は生産性の本や様々なテクニックの本が出ているが、政策立案の主要メンバーが専門家として様々な組織をまたいで働く社会像を打ち出している本書の内容をみると、一般的な現場の努力話以上に本格的な変化が想定されていると見るべきだろう。

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/hatarakikata.html
首相官邸の取組みの様子:働き方の現状課題と施策、2016年までのロードマップなど具体的内容と実現度合いが確認できる。

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こんにちは。読書アクセスを運営しておりますカズノリといいます。
趣味は読書とラジオを聴くことです。
本屋をぶらつくのが好きで、仕事帰りや休日に歩き回っています。ネットで色々なサイトも見ながら本の情報を仕入れては、家やカフェ、通勤途中で、読書をして考えごとを巡らせています。

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