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歴史学の古典


古典のなかでも歴史についてのものは、その内容においてヘロドトスとトゥキュディデスの作品がよく比較され、登場してくる。
今回はこの2つのうち、主にトゥキュディデスの作品について紹介したい。(久保正彰氏の翻訳版で読んでいる)

ヘロドトスとトゥキュディデスの両者の著作とも古代ギリシア時代の戦争を軸としたものだが、前者がそれを物語としているのに対し、後者では論説の多い考えさせる作品としている。
特に有名な語句がここから登場していて、「ペリクレスの葬送演説」「話を目で眺め、事実を耳で聞く」などは聞いたことがあるのではないだろうか。(後者は先日の新聞にも引用されていた)
ペリクレスの代表的な演説として知られる葬送演説は、以下の通り内容を分析できる。

・英雄の行動を讃えることを一人の演説者の演説の上手さに委ねてはならない、と認識を整理。
記憶の確認程度に事績をのべる。

・彼らが何のために戦ったのか、社会の理念の話にうつる。
他の政体との比較による明確化
理念の体現としての制度のポイント指摘
社会を担う市民の精神の格調高さを確認
~これらの理念の確認によって、聴く者の誇りを呼び起こしている。

・具体的な年金の話を行い、社会から英雄への補償を確認。最後に英雄への気持ちをつくしたら立ち去るがよいと述べ、演説おわり。

英雄の評価を行い、社会の団結力を高めることにおいて理路整然とした演説に構成されていることに、古代の人たちへの見方も改まる人が多いと思う。これは2500年以上も前の、紀元前450年頃の人の演説なのだ。

それでは彼らの演説はとても素晴らしくて現代には模範でしかないかといえば、それは違う。
古代アテネの政治では「社会のため」を打ち出しているがために、この演説に数ヵ所みられるように、「自ら人生のゴールを決める」ということの自由を制限している。
また、社会の存続のためということでの徴兵に負担感をもたない。これは時代の豊かさが大きく影響していることではあるが、軍事行動という選択肢を極めて軽く考えている価値観は随所にあらわれる。

そうは言っても、世界史を漫然と受験勉強で学ぶより、はるかに古代のイメージがもてる良書であることが間違いない。
歴史に想いを馳せるにも、社会は何を掲げるべきか考えるにも、おすすめの一冊である。
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