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「存在と時間」M・ハイデガー著


ドイツの哲学者ハイデガーの代表作である本書は存在するということの可能性を考える本だ。
「人生一度きりだと分かってはいるが、大きなアクションを起こせない」という人が読めば自らの時間の過ごし方を考えるのに新たな視点を得られるのではないかと感じる。


[内容]
この本からのメッセージは、人生単位のゴールの設定をしようということである。そして、それを日常生活の延長のようにしてはたして考えられるか?と続けて問いかける。
存在を「可能性の束」とみたとき、その束ねられた可能性の全ては認識されておらず、日常化された意識によって簡単に把握できる部分にとどまっているから、考えられないのではないかという疑問の提起だ。
そしてその解決策について、以下のような論理を展開する。
・可能性はやがて一点に収束する。それは「いつかどこかで終わる」というところだ。
・そこを起点にして考えれば、人々は可能性の選択を後悔することがなくなり、今の姿についても、日常に埋没して見えていなかった可能性まで見ることが出来るようになる。
[比較と特徴]
相手を勇気づけ、自ら人生を考えてふみだそうというメッセージであるという点で、スティーブ・ジョブズのスピーチhttp://kazunotesu.jp/blog-entry-139.html?spは本書より優れている。
ジョブズ自身の経験からも、そこから考える人生観も、迫力をもって伝えてくれている。そして何より、本書の内容も簡潔な表現で含まれている。ジョブズが本書を読んだかどうかは分からないが本書を読む必要性は大いに減ったというべきだろう。

人生を考えるということを考える本としては、I・カントの「純粋理性批判」が比較対象だ。

この著作は、自然科学に対する知識の体系を記述し、考える側の認識の在り方を問い、そのなかで「神の存在の証明の不可能性の証明」をしているなど、知ることの限界を考えている。
これは「哲学とは学問の地図である」と述べてあるとおり、知識にどんな可能性があるのかを整理しようとしている試みである。18世紀後半の文明の基礎のような本だが、長いので、哲学者を志す学生でもなければ読む気分にならないかもしれない。

また、本書と同じくスピーチには劣るものの、力強く人生を進もうと述べている本としては、ニーチェの次の著作が挙げられる。

ここでは、長編の叙事詩の形式をとり、ニーチェなりの存在論を述べている。それは、存在は未来への懸け橋であり、何らかの弱さを克服していく「超人」として在り続けることこそ望ましいという主張である。他の2冊に比べると叙事詩だけあって考えるより感じるといった趣の本である。

人生のゴールというテーマについて、一つの見解を出している次の本を紹介したい。

ゴールドマンサックス会長にして財務長官も歴任した著者ロバート・ルービンは、経済的に成功した部下からの相談を何度かうけたエピソードを紹介し、こんなことを言っている。
「どんな素晴らしい成果をあげても、人生に求めることがわかっていなければ結局満足感は得られない」

変人と言われること気にせず、まずは本心を探すことだ。そこから、他の人にとらわれない、主体的な人生を歩み始めることになるだろう。
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