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「経営の針路」平野正雄著
1990年から2017年までの世界の動きを元マッキンゼー日本代表の経営学者がグローバリズム・金融環境の変化・テクノロジーの発展の観点からダイナミックに読み解いた本であり、長期的な視野を持ってデータを見るあらゆる場面において示唆を与えてくれる本だと思われたので紹介。


(内容)
本書が目指すのは世界経済とその中で日本企業がとるべき針路を明らかにすることである。
その観点から世界経済をみたとき、1990年頃からの変化が大きく表れているのだという。

「グローバリズム」
20世紀半ばからずっと続いていたアメリカ側とソ連側の冷戦構造が終わり、交易が活発になったことはサプライチェーンの最適化などを通じて世界経済にプラスの影響を与えた。また、この頃には中国が改革開放路線をとり、政府主導ではなく市場の論理によって経済の発展を目指す動きも出てきた。未だに中国は企業に共産党の及ぼす影響が大きく、日米欧のような資本主義社会が出来上がったと言えるか微妙なところではあるが、世界経済に参加してGDPを急激に伸ばしている(そして日本を抜いて2位になった)。これまで工場のなかった地に工場が出来るなど先進技術力の世界への展開は、世界のGDPを拡大する役割を果たしてきた。

「キャピタリズム」
日米欧は、この30年近くの間に財政政策の方向を変えた。それは財政均衡を気にかけることなく政府からの景気刺激策が打たれるようになったこと、金融危機で盛んになったように、市場の金融資産を中央銀行で買い取るオペレーションに踏み込んだことが挙げられる。
このことは世界にカネ余りを起こし、ファンドの活躍やM&Aを用いた企業戦略の推進をもたらした。今や企業はキャピタリズムと向き合い、規模拡大競争にも勝たなければならないが、これは世界の財政政策と深く関連しているのだ。

「テクノロジー」
世界のGDPは21世紀に入って倍増、と急拡大している。この間に起こったのはインターネットの普及である。20世紀の終わりごろにウィンドウズが広く使われ出し、2007年にはスマホが発売されて世界の消費者を急速にデジタル経済に組み込んでいった。デジタルは単純作業を置き換え、より付加価値の高い職務に人々を追い立てることを通じて世界のGDPを拡大してゆく。この動きは現在進行中の重要な企業戦略の要素である。

(比較と特徴)
とても分かりやすく世界の政治経済の動きを連結して理解させてくれるのは著者の卓越した知見と構成力の成しえるところであろう。比較としては、
・他のトレンドを読み解く本(マッキンゼーの予測する未来)等と比べると、日本企業目線で、事業目線で整理されていることが最大の違いである。また、統計を多く列挙するよりも、著者が選んだクリティカルなものに洗練している感がある。
例えば発展途上国の人口増加・高齢化などの統計的事実を述べるのではなく、それが労働力の供給や魅力的な市場拡大を通じてグローバリズムを加速することや、年金の増大でキャピタリズムを加速していることに目を向けている。
また、今後どう動くべきかという提案も記載されており、企業からすると結論までそろった優れた作品である。
・他の未来予測の本と比較すると、あくまで針路に限定して、K・ケリー氏やレイ・カーツワイル氏のようなテクノロジーのビジョナリーと比べると未来の社会を思い描くことには深入りしない作品である。具体的レベルまで深入りしていてビジネスに結びつけようとしている未来予測の本で言えば、例えば大前研一氏の作品群が個別具体的なビジネスモデルを検討している点でやや詳しいだろう。このような観点からは、本書は政治経済の方に深く踏み込んでいることが特徴だとも言える。

(周辺情報)
https://www.dhbr.net/articles/-/4916
平野正雄氏の、マッキンゼー時代の心がけや社会への見方についてのインタビュー記事。

https://diamond.jp/articles/-/139099
本書について、平野正雄氏とマッキンゼー時代の平野氏の部下が対談をしている記事。

(その他)
https://blog.goo.ne.jp/kazunotesu
アクセスVISION:様々な事業や市場について、統計やイノベーションなどの理論を用いて今後の動向を考えているサイト。
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