「最後の資本主義」ロバート・B・ライシュ著

アメリカの公共政策学者による、資本主義の停滞について問題の本質と解決策を述べた一冊。
2016年の12月に日本で発売されている通り、大統領選におけるトランプ氏の人気から資本主義の停滞を本格的に読み取り、作成されたものだと思われる。
アメリカ社会の不健全な二極化の様子をいくつかの事実を挙げながらレポートし、資本主義と民主主義がうまく機能していない現実と、変革するために国民の知るべき事柄を述べている。
著者自身、ビル・クリントン政権で閣僚だったためか、全体的に熱気を感じる著作である。そして内容も簡潔でわかりやすく、分量の割に読みやすい。

[見解]
自由市場というものは社会の介入無しには成り立たないもので、その介入方法は各種の法令で構成される。現在それはロビー活動で不健全に歪曲され、消費者がツケを払わされている。
能力主義も現在は成り立っていない。社会に富をもたらす能力に応じて給与を決定しているという仕組みはなく、労働組合の衰退と共に社会の中間層は交渉力を持たなくなり給与を減らしてきている。
これらの結果、資本主義経済の先行きへの不安で「消費から貯蓄へ」と守りの動きが出ているし、海外との貿易拡大についても不平等の拡大への警戒から反発する動きが出ている。富裕層への反発も高まってきている。

[比較と特徴]
シンプルに資本主義と民主主義の停滞を述べており、しかも現実の大企業の名前を堂々と出しての不健全な現状指摘も行っており、とても分かりやすい本。
数式などは登場せず、ルールの不正な部分を明るみに出すことで経済の歪みを説明している。
アメリカ社会の弱みをここまで述べている本は他にない。あえて言えば最近のコトラーの作品に学費やCEO報酬の問題が出ていた(http://kazunotesu.jp/blog-entry-123.html?sp)くらいである。
資本主義と民主主義を採用する社会にいる者としては読む価値が大いにある一冊だと思う。
なお、Diamond Onlineにインタビュー記事が掲載されていたので合わせて紹介しておく。http://diamond.jp/articles/-/4136?display=b
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http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu
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