読書アクセス
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「武器としての経済学」大前研一著


大前研一氏の、2017年現在の経済トピックに対する答えを集めた作品。
具体的には国債とインフレリスク、日本の株式と不動産、老後への政府方針、中国経済、銀行の将来像といった内容である。
(論拠の要点はメッセージが明確ながら、それぞれ簡潔にまとめられているレベルにとどまる新書形式だ。
本当に自らの投資判断とするには統計やその時々の変化要素も確認する必要があるだろう。)


(内容)
大前氏の他の作品と一貫しつつ、さらに論理を進めている。
例えば消費拡大政策について、「生前贈与しても後から遡って計算して納付させる」現行形式の分かりにくさを撤廃し、年金破綻を宣言しつつ老後への政府サポートを約束して財産相続を加速するなどの内容だ。
政府サポートや相続加速は前の本でも言っていたが、税制まで具体的にふみこんだのはこの本が多分初めてだ。
また、銀行については預金と決済による付加価値提供機会がなくなっていくことを認め、その能力をビジネス創出に使うべきだと主張している。フィンテックの普及に対しての明確なメッセージが出ているのだ。

(比較と特徴)
経済にスポットを当てているため、細かくビジネスモデルの成功要因などまでを見ているわけではないが、方針策定の際に気にするべきトピックをアドバイスしてくれている本という印象だ。経済を考えるのに読んだ方が良い一冊だろう。
(お金の余裕はないが時間はあるという方なら、立ち読みでもおおよその内容はつかめる類いの本であるとも思った)

(参考)
http://diamond.jp/articles/-/211
ダイアモンド誌のインタビューで、「人脈」についての考え方を大前氏本人の実践も含めて語っている。

http://k-tsushin.jp/interview/bbt757/
海外進出など、実際の経済活動をする人側の注意するべきことを述べているインタビュー記事。


再分配システム設計業務


※本記事は、普段アクセスVISION (http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu)で記している事業や市場の動向記事の特別版だ。
(長めの記事になることが予測され、広告が極端に多いgooブログを避けた)

デジタル化の進む世の中にあって、僕たちは様々な業務効率化、作業の自動化を目の当たりにしている。
2016年12月に出された内閣府の統計(平成27年度国民経済計算:フロー編)によれば、国民総所得(大雑把に言えば、個人の所得+資産配当+企業の利益)について
1994年度には総額368兆円→2015年度には総額388兆円と、大体20年で5%増えている。
(ちなみにこのデータを見にいって、
・1994年度には給与総額262兆円→2015年度には給与総額263兆円
・1994年度には企業利益65兆円→2015年度には企業利益99兆円
という結果であることに気づく人がいるかもしれないが、この20年に生産年齢人口は8700万人から7700万人へと減っているので、実質的に給与水準は豊かになっている。
失業率も低く、今の論点はほぼ労働者間の給与格差にしぼられていると言えるだろう。)

直近20年の、労働者が減る環境下で約5%伸びた富は、効率化の賜物である。そしてここからは、減りつつある働いている人々への富の集中が推測される。
野村総研の調査(https://www.nri.com/jp/news/2016/161128_1.aspx)・金融広報委員会調査によれば日本に約5000万世帯あるうち約100万世帯が金融資産一億円超である一方で、半数以上は一千万円を下回る。

当然、日本よりも失業率が高かったり報酬格差に寛容な他国では、さらなる格差が存在することだろう。
この格差は、デジタル化が技術力のある人々に富を集中させる特性をもつことから、「単純作業のロボット代替」等を通して広がることが予測される。
放っておけば反発は何かの形で噴出していくだろう(例えば産業革命では資本家への反発で共産主義の革命が起きた)。
かといって再分配をきつくしすぎれば自発的な労働へのインセンティブが失われ、社会全体が停滞する(20世紀の社会主義国は相対的に貧しい)。

そこで必要とされてくる業務の1つは、上記のような両極のトラブルを起こさない再分配システムの設計業務だ。
業務プロセスは次の通り。
①成功者の出した成果のうち「その人個人の努力によるもの」「社会制度のサポートによるもの」を情報整理する
②人々の感情、報酬体系、税制度、法制度等への理解をもとに適切な調整システムを設計する
③様々な場で提案・意見調整をおこない、報酬を受けとる

これは具体的には様々な形をとるだろう。
議員、官僚、政府の委員会委員、企業の人事部、このテーマを扱う本やブログの作者、このテーマを扱う学問の研究者などだ。
競争のポイントは共通で、
①について整理の正確さと分かりやすさ、
②について現行のシステムや同時代の人々の感情への理解の深さ、
③について表現や話し合いの上手さ
である。

現在はニュースを見て分かるとおり、富の分配についての不満が選挙などで意外性さえ伴って表面化する時期に入っている。
意外性があったというのは、情報流通に携わるような人々(新聞やニュース番組の作り手や対象視聴者であり、経済力を比較的持つ人々と推測される)が思っていた以上に再分配が上手く進んでいなかったということであり、
その表面化に対応を迫られていることからは、再分配システム設計業務にお金が動くということである。
それでは解決までに、今後どのような動きが出てくるだろうか?

かつての産業革命のときと違うのは、多くの生身の意見がインターネットを通して表れるだろうことだ。
「勉強や仕事に多くを費やしてきたのに、私的な幸せをあまり得られない不満(それなのに再分配させられるのか、という声)」「日々の労働の中で感じるリアルな賃金格差への怒りの声」等々、遠い境遇の人々についても生身の声を聞くことになることは間違いない。
そしてこのことは、今回の富の再分配問題がより深く感情の問題に結びつくことを予測させる。
富の再分配論争は、お金がないから始まるのではなく、幸せに生きられないと思う人々が多く現れるから起こるからだ。幸せに生きていけるシステムだ、という納得を広く得られるまで本質的に続くことになるだろう。
そしてシステム設計は経済だけでなく、一般的に個人の人生がどのように進むか、そこでどのように幸せを見つけていくのかというレベルまで深められるだろう。(ここまで考えなければ、競争相手と差別化して勝てなくなるはずだ)

これはビジネスチャンスと言える。
再分配システムの設計に関わる知識やデータを集め、然るべき職務につけば利益を得られるというチャンスが、学問的な専門家にとどまらず広く開かれているということだからだ。
例えば特定の生活環境にある人が、同じような環境の人々の感情を整理して表現でき、解決する修正案を出せるのであれば、それが注目を集める可能性もある。ネット広告事業のような収益モデルを組むことも可能だ。

以上から、
再分配システム設計業務はデジタル技術の発展に伴って必要とされてきており、
今後はその解決に「過去のどの時代よりも精密な感情への考慮」が含まれるようになる。このテーマを扱う選挙やニュース報道、書籍やブログ、研究はそうした内容になっていく
というのが僕の見解である。

(参考)
幸せについて75年以上研究プロジェクトを行っているハーバード大学が見解を述べている動画(日本語字幕付き)
https://www.ted.com/talks/robert_waldinger_what_makes_a_good_life_lessons_from_the_longest_study_on_happiness?language=ja
人間関係の質(本人の本当の満足度)と健康面・精神面の幸福度の相関を指摘している。長く当たり前に言われてきたことなのに地道な努力を必要とするもので、自ら人間関係を形成していく努力を必要とするのだ、と述べる。

日本の格差を様々な観点から分析した内閣府調査(委託先:みずほ総研)
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2015/__icsFiles/afieldfile/2015/08/27/27zen17kai7.pdf
格差の経済指標で実体としてみたり、アンケートで感情面もある程度リサーチしたりしているレポート。

いろいろな幸福論の古典について述べた記事
http://kazunotesu.jp/blog-entry-40.html?sp
「How Google Works」エリック・シュミット他


この本は、検索の領域で世界最大となったグーグル社の経営陣が、彼らの出身地であるシリコンバレーと伝統により、後輩へのアドバイスとして経営の思想を伝授するべく世に出した作品だ。

・どのようにしてデジタル化の進んだ時代に大きな成功を収められるだろうか
・何でみんな楽しそうにして、立派に成功しているのか
という誰もが多かれ少なかれ持っているだろう興味に応えてくれていると思う。文体に遊び心があって面白いので直接読むことをおすすめするが、ここではその内容について読んで少し紹介を行いたい。


(内容)
企業には第一に文化が必要だ。
経営陣や従業員の1人1人、何かの決断を迫られるときがある。
そのときにどのように答えを出すかという無形の雰囲気が企業の文化だ。例えばグーグル社には「邪悪になるな」という文化があるし、「ユーザーを第1に考える」という文化がある。
ユーザー第1はグーグルchromeを使って感じる通り、日々使い勝手を向上することに役立っているし、社内では経営陣まで本気で遂行することへの信頼が従業員の本気の能動性を引き出している。

次に戦略が続く。従業員たちの努力や資本を向かわせるのに、常に技術・プロダクトの向上を優先し、(文化とも通じるが)ユーザーに有意義であることからオープンを原則とするのだ。
これは例えば日本の携帯キャリアに見られるような囲いこみ文化の撤廃、プロダクトやサービス自体の優位への挑戦に会社を向かわせることを意味するだろう。

次が人材だ。人材は最も大事とよく言われるが、グーグル社も前述のように魅力的な文化を築き上げ、成長を真っ直ぐに志向する企業となっているものの人材を集めていくことに特に注意をしているという。
例えば抜群にスゴい人を従業員に連れてきてもらうように呼びかけたり、質問をどのようにするか考えていたりというアクションにより「情熱と知性、誠実さと独自の視点を持った理想の候補者」を得ようとしている。
採用活動への協力が人事評価に関わるというところにも本気度を感じる。

(見解)
読めば読むほどにグーグル社の世の中を変えようという熱意や求心力を感じる。入社して活躍するにはプログラミング等で技術者としての力を持たないと厳しそうだが、、
従業員が経営陣まで本気の文化を信じ、良い働きをしようと自ら動くことに良い職場だと感じる。しかもそれが経営陣の戦略によって優れた成果へと収束されていくのだ。それが利益になり、良い給与にもなる。
こんな会社を築き上げるのはすごいことだ。
事業をするならこんな雰囲気の組織を築き上げたいと思うような会社である。
(参考)
TEDの創業者インタビュー動画
日本語字幕を入れてくれている、グーグル創業者ラリー・ペイジ氏のインタビュー動画。未来を見通し作り出すことへの集中、好奇心によって進んでいること等を述べている。

https://r.nikkei.com/article/DGKKZO21757530R01C17A0EA2000
グーグルCEO(スンダル・ピチャイ氏)インタビュー
(その他)
http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu
アクセスVISION:
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