読書アクセス
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「ジョブ理論」クレイトン・クリステンセン著


本書はイノベーション三部作(http://kazunotesu.jp/blog-entry-26.html?sp)の著者であるクリステンセン教授が、イノベーションを起こして成果を出すようなビジネスモデル策定の視点を示すものだ。
内容は「イノベーションの最終解」の中で破壊的イノベーションの理論を支える視点として述べられている“片付けるべき用事“だ。
元々イノベーションの進出先として市場を考えるとき、クリステンセン教授は顧客層を
①今は無消費の潜在的な顧客
②今のサービスや製品を一部過剰だと考える顧客
③今のサービスや製品に飽き足らない顧客
という三分類にして、それぞれに対応するイノベーション戦略を具体的に考え出した。それが

1新市場型破壊的イノベーション
2ローエンド型破壊的イノベーション
3持続的イノベーション

だ。ここまで判別できるとイノベーション戦略のための研究開発やビジネスモデル変革ポイントが明らかになり、チームの体制も目的に合わせた設計方法があるので成功しやすい。
それがイノベーションの最終解なのだが、そもそもどうすれば顧客の分類が出来るのか、特に無消費層を見つけられるのか分かりにくいという課題が出たらしく、本書の執筆に至ったらしい。


(見解)
イノベーション戦略のためには顧客を知ることが重要で、それはビッグデータを集めて分析した統計を眺めていても見つからない。顧客の今の行動を後付けで説明するのがうまくなるだけだ。
そうではなく、顧客が当該製品やサービスで片付けようとしている用事(ジョブ)を知ることが大事だ。
そのためには顧客を観察し、おかれている状況と課題の理解、解決に至っているポイント、それらのストーリーごとに細分化することが必要だ。

(比較と特徴)
イノベーション理論の最も基本となる一ポイントに特化した作品。
この理解に基づいて組織を再設計し、狙ったイノベーションに向けて突き進むためにはイノベーションの最終解を始めとした他の著作に進むことが必要だ。

ただし、所属する企業などでデータ分析のマーケティングを偏重しすぎてうまくいかなくなったり直観と離れた施策が出てきて不安になる時など、本書を読んでいれば上手く覆す解決策が見つかるかもしれない。
読んで力になる一冊だと思う。
(参考)
Forbesのインタビュー記事
クリステンセン教授が日本をテーマに話しているインタビュー記事。日本語。

講演会の記事
クリステンセン教授の講演会記事。本書の内容にも近く、読みごたえがある。

https://www.forbes.com/sites/forbestreptalks/2016/10/03/clayton-christensen-on-what-he-got-wrong-about-disruptive-innovation/#42391093391b
Forbes誌によるインタビュー。本書についての言及もある。ここではジョブ理論の効用として例え話を用い、「自動車の運転手により良い製品を聞いたら運転の快適さや速度、サイズの話をするだろう。しかし彼が自動車でマックに行き、オフィス代わりにして仕事をするところを見たら、オフィスとして使える自動車の開発を検討できるだろう」と述べて顧客目線の発想の広がりを指摘している。
この視野の広さは、開発のみでなくデジタルでサービスをどんどん拡大できる分野でも活躍すると思われる。

(その他)
アクセスVISION:ビジネスモデルを考えるサイト
http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu

事業分析と動向予測:アクセスVISIONの背景にある論理や技術について図表化しつつ整理した本
http://amzn.to/2Aqz7jU

東京探検ゲーム:ブログ内の記事を辿ってゴールを見つける無料探検ゲーム
https://tokyoeg.blogspot.jp/2017/11/start.html

「スティーブ・ジョブズ」ウォルター・アイザックソン著
iPhoneを発表し、世界をスマートフォン時代に変えたアップル社の創業者であり、強烈な完璧主義で知られたスティーブ・ジョブズのインタビュー伝記。
書き手はベンジャミン・フランクリンやアインシュタインの伝記作家としても知られていて、文章にユーモアが多くて面白いのが特徴だ。

僕がこの本を読書アクセスで取り上げるのは、読み手に勇気を与えるパワフルな本だと思っているからだ。
もちろんこれまで紹介してきた本もそういう目線で選んだものが多い。ただ、一人の物語としてこれほどまでに迫力をもつものとしては、理性的なルービン回顧録http://kazunotesu.jp/blog-entry-19.html?sp、真実を追究する姿勢のファインマン氏の話http://kazunotesu.jp/blog-entry-61.html?spも合わせ、最高の作品の1つだ。

スティーブ・ジョブズのことを知るには、スタンフォード大での演説http://kazunotesu.jp/blog-entry-139.html?spをあわせて聞くのが効果的だと思われる。その声からは強烈なエネルギーをもって周囲を動かしている片鱗が伺われるし、その話からはそのエネルギーの源の一つを知ることができるのだ。

本書を読んで良かったと読者が考えるだろうポイントは次の通りだ。

・スティーブ・ジョブズは自分の感情をたいせつにして、本物の人生をすごしている。周囲に好かれようとか穏やかにやり過ごす好みを持たないがゆえに、それが物語で明るみに出ている。

・スティーブ・ジョブズは苦境をいくつも超えている。男女関係、経済問題、チームワークについて。これってほぼ皆の抱える問題ではないか?

・スティーブ・ジョブズは希望を自分の言葉で語り、希望に向かう自分を決して卑下しない。最高の仕事をしている、自ら最高の才能をもつと信じて進んでいる。

・スティーブ・ジョブズは「幸せだ」と言う。言えないような事柄と精一杯に闘って、自分の人生については「幸せだ」と満面の笑みで言う人なのだ。

・スティーブ・ジョブズは分かりやすい言葉で伝える(スタンフォード大演説のガンの回復など、事実関係については嘘もあるしよく歪曲するらしいが…)。本書にはインタビューから本人の言葉がたくさん登場するし、最終章では本人の持ち続けてきた想いについて多く引用されている(自分の想いとか感情は正直、率直)。
それは社会全体、人類全体に向いたものだ。そうであればこそ、世界中にスマートフォンを届けることが出来たのだろう。

スティーブ・ジョブズは伝記を依頼することを決めるとき、病気だった。関わる業者にも完璧を求めたジョブズは、この著者に依頼すると決めてから何年も依頼を続けて実現させた。
ジョブズは執筆を完全に著者に委ねて読んでいないらしいが、公正に登場人物たちのインタビューを用いて、人物を伝える素晴らしい作品になっていると思う。
読んだら、良い本に出会えたと感じるはずだ。




大前研一氏のジョブズとアップル社評:
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20111017/287644/?ST=mobile

冨山和彦氏のジョブズとアップル社評:
http://toyokeizai.net/articles/amp/141518?display=b&_event=read-body



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こんにちは。読書アクセスを運営しておりますカズノリといいます。
趣味は読書とラジオを聴くことです。
本屋をぶらつくのが好きで、仕事帰りや休日に歩き回っています。ネットで色々なサイトも見ながら本の情報を仕入れては、家やカフェ、通勤途中で、読書をして考えごとを巡らせています。

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