読書アクセス
「充実した読書につなげられるような案内作り」をテーマとして、多読のビジネスマンが本の紹介や比較をしているWebサイト
08 | 2016/09 | 10
S M T W T F S
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

自己啓発三大名著
日経BPnetによれば、世の自己啓発本の三大名著は「思考は現実化する」「七つの習慣」「人を動かす」の3作品であり、他のビジネス本の元ネタになっていることも多いとされる。
今回はその3大名著について、どんなことを成功と考えているか、そのために意識することとしてどのような方法論を挙げているのかについて比較しつつ紹介していきたい。

〇人生の理想・成功について、どのような意識をもっているか。
「思考は現実化する」
本書においては、成功の定義は「成功とは、他人の権利を尊重し、社会正義に反することなく、自ら価値ありと認めた目標【願望】を、黄金律に従って実現していく過程である。」というものだ。
ただし具体的に本作のなかで出てくる成功にまつわるエピソードを見ると、規模の大小はあるが純粋に営業成績的、経済的なものである。
「(この本を読み終わったら)まずあなたが一番にすることは、願望を富に変えるための行動計画を立てることである。」と明言もしている。

実業家のアンドリュー・カーネギーの人脈をたどって成功者の考え方や行動の法則を集めて出来上がったものなので、各界の実力者に言及してあるといえその傾向があるのだろう。
本著の制作は1930年頃のアメリカで、独占的な企業がいくつも現れていた時期だ。本書では、暗黙の了解として富の獲得がテーマである。

「七つの習慣」
序章において、真の成功とは表面的な成功(才能などに対する社会的評価)と対比されるものであり、「優れた人格を持つこと」と定義される。
「身体の大きさ、地位、権限、肩書き、容姿、過去の実績といった力ではなく、長期的な人間関係を成立させるような人格的成功」こそが常にテーマである。20世紀の終盤に記されたものであり、物質的なものより精神的なものに焦点が向いているのだろう。

「人を動かす」
この本では、何が人生の成功であるかについて明言はされておらず、人間心理の探求を行っている。ただし、この本で最も優れた人物の一人とされ、何度も登場するのがリンカーン大統領だ。
登場する文脈は、「彼がいかに人の心をとらえる術を心得ていたか」というものだ。

つまり本書での成功とは、「人の心理を知り、上手に動かせる技術を得ること」である。そのため、人の心理が常にテーマとされる。記されたのは1940年頃だが、著者がリンカーンの研究者であることが、注目するテーマを決めているようだ。

〇現実認識のポイントとして、どんなことを挙げているか。
「思考は現実化する」
この本では、「成功を引きつけるのは心の力」「信念は感情を伴った思考と結びつき、願望を実現する」ということが述べられる。その見方で成功の事例が多く挙げられ、またその方法も挙げられている。

方法としては、願望・費やすもの・期限・計画・紙に書く・毎日その紙を見て音読する、の6つがあり、これが心の力を高め、実現を成し遂げることになるのだという。
その説明のなかで、信念を強くするために深層自己説得を何度も行う(何度も心の中でイメージを描く、ポジティブなことを言う)こと、計画をチームを組んで立てることなどのアドバイスや、「成功者に見られる特徴」の追加情報がどんどん出てくる。
かなり精神論的な展開だといえるだろう。

「七つの習慣」
この本では、人は成功を求めるために外的な形から入るのではなく、人格の成功という内的なものから入ることが必要であると説いており、それをインサイド・アウトのアプローチと命名している。
そしてインサイド・アプローチの行動をとるのに、パラダイムを変えられるような習慣を七つ提案する。パラダイムは誰もが意識的かどうかに関わらずもっており、人生の経験や様々な出来事をそれによって判断しているものだ。

習慣の説明は主体性をもつことから始まり、相互依存の関係まで成長の段階をおって説明される。そして最後にいつも見方を改善することを七つ目の習慣として紹介している。WinWinを考える、理解してから理解される、相乗効果を発揮する、という3つが人間関係を焦点にしている。

「人を動かす」
人の心理の原則は、「人は自らを基本的に悪いと思っていない」「重要人物たろうといつも欲している」というものだ。

この見解に沿って動かす原則、好かれる原則、説得する原則、、と展開して、あいまにエピソードを添えている。いつも笑顔を忘れないでいることの力など、具体的なレベルまで説明している。

…以上の比較から、今読みたいのがどの本(もしくはその系統)なのか考えれば求めていた読書が出来るはずだ。
また、この視点から読み進めることで、より効果的に知識を整理しながら楽しい読書ができると思う。









「モモ」ミヒャエル・エンデ著
今回は、子どもにも読める面白い物語として広く知られている一方、テーマには近代社会に象徴的な社会問題の提起があるという次の作品を紹介したい。



ミヒャエルエンデは20世紀後半ドイツの作家で、つまり社会環境が同時期の日本に近い。工業化を急速に進めてひずみが起こっている社会にたいして観察がなされており、そして問題を提起している。(それらは21世紀に於いて、一部は解決されようとしているし一部は保留されている。)

主人公のモモの周囲の大人が語る、工業化された社会での苦しさについての一節はかつての左官屋の語る次の通り。
「手をひとつ動かすにも決められたとおり」
「まっとうな良心に反するような仕事をやってるんだ。…インチキ工事さ!…むかしはいまとちがって、…おれの仕事をほこりに思ったもんだ」

このうち一つ目はテクノロジーの進展により、限りなく自動化されて解決されようとしている。このように無駄にされている時間は、まさに現在進行形で解放されている。
しかし二つ目の問題は、資本主義の利益追求のひどさを指摘しているのだと思うが、むしろ制度の問題であって、言わば昔ながらの問題である。たとえば江戸時代の良心的な役人の上司に悪代官が就いたら同じような苦しさをもったことだろう。

二つ目の問題に解決はあるのか、今でもニュースには不祥事の問題があり困難をうかがわせる。
大人のあきらめの言葉として、本著では「あまり深刻に考えないこと、そんなの関係ないと思うこと」が広がっているという。しかし心であきらめきれず、「だんだんと関心を何にももたなくなって、心はからっぽで冷えきってしまう。退屈の病にかかる」と観察している。そしてそれを、「誰かのため」と言ってのみこもうとしていると指摘するのだ。

モモの友だちには子どもたちも登場するが、そうした心の冷えきった大人たちにまきこまれ、「役に立つこと」だけを「面白いの?」と考えることもなくつめこまされ、心の行き場のない、現在風に言うならキレやすい子どもにさせられていることを指摘している。
つまりこの本には3つの問題提起があって、テクノロジーが1つめの問題を解決しているが他の2つは未だに社会問題であり続けている。現在読んでも、示唆に富む一冊である。児童書というよりフランツ・カフカなどに近い社会小説だ。
カフカの現代社会の描写には、「城」が挙げられるだろう。

こちらも現代社会の作業の1つ1つをみたときの心のこもらなさの実態を述べているものだ。主人公の姿も輪郭が見えてこず、登場する人物もおこる出来事にも全て無気味な薄暗さが漂い続けている作品だ。
この二作について、メッセージ性やストーリー展開では「モモ」が優れていて、心のこもらない大組織の仕事の無気味さをひたすら表現する読み心地では「城」に特徴があると整理できる。

また、工業化され単純作業の増えたころ、一作業員の取り組み姿勢として神話を持ち出しつつ視点をかえる考えを紹介したものがカミュの作品に存在する。


これは作業をしながら変化していく自らに目を向けることで無意味性を克服しようという試みであり、目標意識よりもやらされ感で受験勉強をさせられる立場の学生に近いものがあるのではないだろうか。

学校の勉強に向き合い苦しむ学生というテーマではヘッセの車輪の下も挙げられやすい。

この作品は、たとえていうなら「モモ」に登場する子どもたちの一人を主人公にして、悲劇的に教育の問題点を疑問視しているようなものだ。
ここでは、「モモ」のようなハッピーエンドはないため読後感は言いようもなく暗い。助けが登場することもなく、社会の圧力の苦しさを延々と表現するかのようだ。読後感の強烈な暗さの分、読んできた人たちへの影響は大きかったはずだ。

社会のテーマをめぐる小説の代表的なものについて、興味があれば読んでみてはいかがだろうか。

http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu
アクセスVISION: 社会にある色々なおしごとを考えるサイト
「インターネットの次に来るもの」K.ケリー著
本著は、未来について述べたあらゆる著作のなかで、最もリアリティーのある記述がなされているものだ。
著者がテクノロジー情報誌の編集長を長らく務めたことも一因としてあるだろう。未来について考えたい人に勧める著作である。


まずはじめに、「未来のテクノロジー」という視点からまとめてあることが本著の特徴である。
これは著者の名を一躍有名にした前作「テクニウム」の流れを汲んでのことだろう。
前作の知識は本著の理解の大きな助けとなるので基礎知識だけ復習する。
・進歩は、原子レベルの再組織化という視点でとらえられる。
・生物の発生そのものも進歩の一つの事象にすぎない。生物を構成している原子たちは、時間が始まったときから存在している。
・進歩の対極には最大エントロピーがある。これはあらゆる原子が動きを持たない完全の静寂であり、宇宙に存在する。
・進歩の方向性は偶然ではなく、歴史をふりかえると原子の活動を増大させる再組織化に向かってきている。
・現在最も原子の活動を増大させるのはコンピューターのコアチップである。テクノロジーは進歩の最先端にあり、それは人々の選択肢を増やし続けてきている。中世フランスの国王よりも現代の平民は物質的に豊かな生活をしている。


この前著は値段が高めであり、以上のまとめで大方内容はとらえているはずなので、まとめだけで本著にうつるのが効率が良いだろう。

本著ではそのテクノロジーの進む道について、12の現在分詞によって描き出す。
例を挙げるなら、filteringの章。
増大し続けるネットの情報~文書、音楽、動画~は勢いをとどめることがないと指摘する。それは個人がますます創作活動に加わりやすくなったことが原因だ。
インターネット技術の進歩もあるし、シスコ社の予測ではネットに接続するスマートフォンなどのデバイスも、2015年の150億から500億に達するという。
その、100年かけても読みきれない、聴ききれない情報のなかから何を手にするか決めるとき、そのフィルターをどこにおくかが問われる時代になる。それは今のようにマスメディアのヒットチャートかも知れないが、Amazonのお薦め表示のようにパーソナライズされた広告にとってかわるかも知れないし、有力な情報編集者がソーシャルメディアに現れてお薦めを示すこともあるだろう。
これは確実に巨大化する産業である。

このように具体的で有用な章が12個あって2000円ちょっとなので、本当におすすめなのだ。

この他に有名な未来予測は、エコノミスト誌が2012年に出版した「2050年の世界」だろう。

この本では統計から入る未来予測が展開されており、第一章は人工の予測である。
社会科の授業で配られた資料集と同じような区分けのイメージで、既存の社会トピックを一つ一つ解説していく。
特徴はケリー氏の著作よりも現代の統計を詳細に述べていることだ。たとえばゴールドマンサックス社の予測の引用などにより、具体的な数字を掲げて描き出そうとする。

しかし具体的な生活の変革イメージであったり、進歩そのものへの洞察の深さ(どれだけ原則をつきつめて現象を整理しているか)においてケリー氏の著作は圧倒的だ。
雑談のネタにはエコノミスト誌の著作も優位性があるかもしれないが、本当に変化を見極めたい方にとって、おすすめはケリー氏の著作である。
「人を動かす」D.カーネギー著
もはや日本で500万部売れているということから今さら取りあげるまでもない本書だが、ここでも改めて紹介したい。



まずこの本は、人の行動に強く制限をかけている基本的性質について述べる。それは以下の二点である。
・基本的に、自らを悪いと思っていない。
・重要人物であろうという欲求をもつ。

そこから人を動かす3原則を引き出している。
・間違っていると非難して動かそうとしても、相手がそれを受け入れる心境になる特別なことが無ければ全く意味がない。責めないこと。
・人はほめたり励ますことで積極的に動く。賛成できることがあるときは、何も言わずにおくのでなく心からの賛辞をおくる。
・ほめたり励まして動く相手でなければ、何を望むのか考えてそれを提示し向かわせること。論破したりしつけようとするのは効果をもたない。

この本には他に好かれる方法、説得する方法、人を変える方法と述べている。しかし上記の法則から単純に導かれないのは二点のみだ。
一つは好かれる方法のうち「笑顔を忘れない」。ここには笑顔が、「あなたが好きだ。一緒にいて楽しくて、会えてて嬉しい」というメッセージをもつものだという了解があり、法則につながっていく。
もう一つは人を変える方法のうち「自らの誤りを話す」。これはその行動が相対的に相手を否定しないことにより間接的に重要性を示唆する、誇りを傷つけないことから法則につながっていく。
つまりこの追加的理解を含めると、すべての論理構成が冒頭の二つの基本的性質から導かれているのである。
このシンプルさは、読者の行動に影響を与え、本の評判をあげるうえで大きな効力をもったことだろう。この本は自己啓発三大名著の1つであり、その中での比較もこのサイトで行っている。
http://kazunotesu.jp/blog-entry-50.html?sp
人を動かすことを述べた最近の作品には瀧本哲史氏の交渉論がある。


この本で他の本になく特別優れているのは交渉の重要性を述べた前半である。特にベンチャー企業はじめ革新的行動をする者がロマンとソロバンを考えて事業をなしとげるときいかに交渉が必要になるか、交渉の存在について述べていることは交渉をしようと考えるべき場面について、新たな視点をもたらすだろう。

ただし交渉論自体となると
「相手の立場にそった提案」
「複数の選択肢をもつ者の優位」
「自らを自身の代理人と思って割りきって交渉に臨むと動きやすい」
などの表層的な技術論になるので、メモをしたらあとは実践するほかない。純粋に交渉というものを深く考え、人間関係について自らのなかに強固な現実認識を築きたい、というのであればカーネギーの著作が優れているだろう。
人間関係に悩むようなとき、新書の技術をしっかり自らに取り込むうえでも一度読むことがおすすめだ。

初心者でも安心のサポート!アフィリエイトを始めるならA8.net




カテゴリ

プロフィール

kazunori

Author:kazunori
こんにちは。読書アクセスを運営しておりますカズノリといいます。
趣味は読書とラジオを聴くことです。
本屋をぶらつくのが好きで、仕事帰りや休日に歩き回っています。ネットで色々なサイトも見ながら本の情報を仕入れては、家やカフェ、通勤途中で、読書をして考えごとを巡らせています。

フリーエリア

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる