読書アクセス
「充実した読書につなげられるような案内作り」をテーマとして、多読のビジネスマンが本の紹介や比較をしているWebサイト
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「How Google Works」エリック・シュミット他


この本は、検索の領域で世界最大となったグーグル社の経営陣が、彼らの出身地であるシリコンバレーと伝統により、後輩へのアドバイスとして経営の思想を伝授するべく世に出した作品だ。

・どのようにしてデジタル化の進んだ時代に大きな成功を収められるだろうか
・何でみんな楽しそうにして、立派に成功しているのか
という誰もが多かれ少なかれ持っているだろう興味に応えてくれていると思う。文体に遊び心があって面白いので直接読むことをおすすめするが、ここではその内容について読んで少し紹介を行いたい。


(内容)
企業には第一に文化が必要だ。
経営陣や従業員の1人1人、何かの決断を迫られるときがある。
そのときにどのように答えを出すかという無形の雰囲気が企業の文化だ。例えばグーグル社には「邪悪になるな」という文化があるし、「ユーザーを第1に考える」という文化がある。
ユーザー第1はグーグルchromeを使って感じる通り、日々使い勝手を向上することに役立っているし、社内では経営陣まで本気で遂行することへの信頼が従業員の本気の能動性を引き出している。

次に戦略が続く。従業員たちの努力や資本を向かわせるのに、常に技術・プロダクトの向上を優先し、(文化とも通じるが)ユーザーに有意義であることからオープンを原則とするのだ。
これは例えば日本の携帯キャリアに見られるような囲いこみ文化の撤廃、プロダクトやサービス自体の優位への挑戦に会社を向かわせることを意味するだろう。

次が人材だ。人材は最も大事とよく言われるが、グーグル社も前述のように魅力的な文化を築き上げ、成長を真っ直ぐに志向する企業となっているものの人材を集めていくことに特に注意をしているという。
例えば抜群にスゴい人を従業員に連れてきてもらうように呼びかけたり、質問をどのようにするか考えていたりというアクションにより「情熱と知性、誠実さと独自の視点を持った理想の候補者」を得ようとしている。
採用活動への協力が人事評価に関わるというところにも本気度を感じる。

(見解)
読めば読むほどにグーグル社の世の中を変えようという熱意や求心力を感じる。入社して活躍するにはプログラミング等で技術者としての力を持たないと厳しそうだが、、
従業員が経営陣まで本気の文化を信じ、良い働きをしようと自ら動くことに良い職場だと感じる。しかもそれが経営陣の戦略によって優れた成果へと収束されていくのだ。それが利益になり、良い給与にもなる。
こんな会社を築き上げるのはすごいことだ。
事業をするならこんな組織を築き上げたいと思うような会社である。

http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu
アクセスVISION:
ビジネスモデルを様々に考え出しているサイト

「ジョブ理論」クレイトン・クリステンセン著


本書はイノベーション三部作(http://kazunotesu.jp/blog-entry-26.html?sp)の著者であるクリステンセン教授が、イノベーションを起こして成果を出すようなビジネスモデル策定の視点を示すものだ。
内容は「イノベーションの最終解」の中で破壊的イノベーションの理論を支える視点として述べられている“片付けるべき用事“だ。
元々イノベーションの進出先として市場を考えるとき、クリステンセン教授は顧客層を
①今は無消費の潜在的な顧客
②今のサービスや製品を一部過剰だと考える顧客
③今のサービスや製品に飽き足らない顧客
という三分類にして、それぞれに対応するイノベーション戦略を具体的に考え出した。それが

1新市場型破壊的イノベーション
2ローエンド型破壊的イノベーション
3持続的イノベーション

だ。ここまで判別できるとイノベーション戦略のための研究開発やビジネスモデル変革ポイントが明らかになり、チームの体制も目的に合わせた設計方法があるので成功しやすい。
それがイノベーションの最終解なのだが、そもそもどうすれば顧客の分類が出来るのか、特に無消費層を見つけられるのか分かりにくいという課題が出たらしく、本書の執筆に至ったらしい。


(見解)
イノベーション戦略のためには顧客を知ることが重要で、それはビッグデータを集めて分析した統計を眺めていても見つからない。顧客の今の行動を後付けで説明するのがうまくなるだけだ。
そうではなく、顧客が当該製品やサービスで片付けようとしている用事(ジョブ)を知ることが大事だ。
そのためには顧客を観察し、おかれている状況と課題の理解、解決に至っているポイント、それらのストーリーごとに細分化することが必要だ。

(比較と特徴)
イノベーション理論の最も基本となる一ポイントに特化した作品。
この理解に基づいて組織を再設計し、狙ったイノベーションに向けて突き進むためにはイノベーションの最終解を始めとした他の著作に進むことが必要だ。

ただし、所属する企業などでデータ分析のマーケティングを偏重しすぎてうまくいかなくなったり直観と離れた施策が出てきて不安になる時など、本書を読んでいれば上手く覆す解決策が見つかるかもしれない。
読んで力になる一冊だと思う。

アクセスVISION:ビジネスモデルを考えるサイト
http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu



「統計にみる「日本の普通の生活」2017」カズノリ著


本書は、各種統計を複合的に組み合わせて、現在の日本の「普通の生活」を描き出した作品だ。
扱う統計の出所は、内閣府・総務省・金融庁・日本銀行・厚生労働省・文部科学省等々あらゆる部署に及ぶが、全て信頼性の高い組織だ。

統計は図表を使って分かりやすく述べている他一つ一つに出所を載せているため、他の場面で本書から得た知見を行かすことも容易に出来る。統計探しなどで苦労する経験をもつ人は、有用な本だと感じるのではないか。

普通の生活として扱うテーマは家計、仕事の忙しさや収入、学校や交際関係だ。


僕のサイト「アクセスVISION」では市場や事業について現状や今後の動向を述べているが、その内容をよりよく知って楽しむのにも役立つと思う。
今の日本の様子を知りたい人に、おすすめの一冊である。

アクセスVISION:
http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu

トピックVISION:
http://topicvision.jugem.jp/

「スティーブ・ジョブズ」ウォルター・アイザックソン著
iPhoneを発表し、世界をスマートフォン時代に変えたアップル社の創業者であり、強烈な完璧主義で知られたスティーブ・ジョブズのインタビュー伝記。
書き手はベンジャミン・フランクリンやアインシュタインの伝記作家としても知られていて、文章にユーモアが多くて面白いのが特徴だ。

僕がこの本を読書アクセスで取り上げるのは、読み手に勇気を与えるパワフルな本だと思っているからだ。
もちろんこれまで紹介してきた本もそういう目線で選んだものが多い。ただ、一人の物語としてこれほどまでに迫力をもつものとしては、理性的なルービン回顧録http://kazunotesu.jp/blog-entry-19.html?sp、真実を追究する姿勢のファインマン氏の話http://kazunotesu.jp/blog-entry-61.html?spも合わせ、最高の作品の1つだ。

スティーブ・ジョブズのことを知るには、スタンフォード大での演説http://kazunotesu.jp/blog-entry-139.html?spをあわせて聞くのが効果的だと思われる。その声からは強烈なエネルギーをもって周囲を動かしている片鱗が伺われるし、その話からはそのエネルギーの源の一つを知ることができるのだ。

本書を読んで勇気を与えられると考えるポイントは次の通りだ。

・スティーブ・ジョブズは自分の感情をたいせつにして、本物の人生をすごしている。周囲に好かれようとか穏やかにやり過ごす好みを持たないがゆえに、それが物語で明るみに出ている。

・スティーブ・ジョブズは苦境をいくつも超えている。男女関係、経済問題、チームワークについて。これってほぼ皆の抱える問題ではないか?

・スティーブ・ジョブズは希望を自分の言葉で語り、希望に向かう自分を決して卑下しない。最高の仕事をしている、自ら最高の才能をもつと信じて進んでいる。

・スティーブ・ジョブズは「幸せだ」と言う。言えないような事柄と精一杯に闘って、自分の人生については「幸せだ」と満面の笑みで言う人なのだ。

・スティーブ・ジョブズは分かりやすい言葉で伝える(スタンフォード大演説のガンの回復など、事実関係については嘘もあるしよく歪曲するらしいが…)。本書にはインタビューから本人の言葉がたくさん登場するし、最終章では本人の持ち続けてきた想いについて多く引用されている(自分の想いとか感情は正直、率直)。
それは社会全体、人類全体に向いたものだ。そうであればこそ、世界中にスマートフォンを届けることが出来たのだろう。

スティーブ・ジョブズは伝記を依頼することを決めるとき、病気だった。関わる業者にも完璧を求めたジョブズは、この著者に依頼すると決めてから何年も依頼を続けて実現させた。
ジョブズは執筆を完全に著者に委ねて読んでいないらしいが、公正に登場人物たちのインタビューを用いて、人物を伝える素晴らしい作品になっていると思う。
読んだら、良い本に出会えたと感じるはずだ。




「ブロックチェーン・レボリューション」ドン・タプスコット著


デジタル技術によって世界が変わるという話題において、主な技術に挙げられやすいものといえばブロックチェーンではないだろうか。
ビットコインなど金融分野にとどまらず、契約の実現を組織でなくテクノロジーに置き換える、巨大な台帳。それは取引の種類にもよるが、基本的に既存の集権的なビジネス、制度にたいして変革や大きな効率化をもたらす可能性がある。

本書はそのブロックチェーン技術について第一人者が解説するものだ。そして他の第一人者たちによる高評価も得ているらしい。分かりにくいテクノロジーの話について大きく間違えずに基礎知識を得るには、最も適している一冊だろう。


(見解)
本書はブロックチェーン技術をインターネットばりに世界を一変する力があると考えている。
それはどんな取引でも記録でき、その信頼性に中央集権の力を必要としない特性をもつ。
ブロックチェーンの金融技術に可能性を感じ、巨大銀行の幹部や巨大IT企業の幹部がビジネスを試しつつあるのが現状である。
この技術の懸念は取引の拡大により処理能力の限界がくる可能性や、データ記録に用いられる電力コストであり、その解決に向けても日々努力が続けられている。

(比較と特徴)
本書はブロックチェーンによる未来の変化予測の本である。
技術についてすっきり分かるわけではない。それは他の未来予測の本(アレック・ロスの本http://kazunotesu.jp/blog-entry-137.html?spなど)と同レベルといっていい。

本書がそのような未来予測の本と異なるのはブロックチェーンに特化し、そこから全ての領域への影響を洞察するところだ。また、発行が2016年の後半であり、最近の様々な企業の反応も描かれている。
ブロックチェーン技術に特に注目する人にとっては、未来予測に力になる一冊だ。もしブロックチェーン開発がうまくいった場合、その波及を素早く理解できるようになると思う。

(参考になりそうな記事)
https://www.google.co.jp/url?sa=t&source=web&rct=j&url=https://media-publications.bcg.com/Thinking-Outside-the-Blocks.pdf&ved=0ahUKEwjqluzvm7HVAhWEEbwKHaIKAMYQFghmMAk&usg=AFQjCNEKv9sCyXfKR_moLe_rYPumy17G2Q
ボストン・コンサルティング・グループによるブロックチェーン技術の論考

(その他)
http://topicvision.jugem.jp/
トピックVISION: ニュースになるような様々な話題について情報を整理しているサイト

http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu
アクセスVISION: 様々な事業や市場について今後の動向を考えているサイト


「経済」レイ・ダリオ作


ウォール・ストリートジャーナルによっても世界最大と評されるヘッジファンドは、レイ・ダリオの率いるブリッジウォーター社である。https://www.google.co.jp/amp/s/www.wsj.com/amp/articles/the-worlds-largest-hedge-fund-is-building-an-algorithmic-model-of-its-founders-brain-1482423694

そして、このレイ・ダリオが経済の本質について述べた動画がYouTubeに公開されており、しかも日本語に翻訳されている。それが「the economy (経済)」である。

https://youtu.be/NRUiD94aBwI

これは経済が循環する仕組みを紹介した作品であり、マクロ経済が今どのような状態で、今後拡大するのか縮小するのか考えるときの助けになる。

その内容は僕の理解した限り、次の通りだ。
①金融は、信用(クレジット)の創出によって人々の購買力を高める
②購買力の高まりは物価を高め、企業の業績も上がり、インフレになる
③高すぎるから物を買わないとか、売りたい人が買いたい人を上回るとき、物価は下がりだす
④物の価値を基礎として成り立っていたクレジットは縮小し、人々の購買力が下がる
⑤購買力が下がると企業業績も物価も下がり続けてデフレになる
⑥物価が下がりきって買う人々が売る人々よりも増えるとき、物価は上がりだす
→①につながり、流れは循環する。

そして中央銀行はこの②と⑤を振れ幅が大きくなりすぎる前に調整しようと、金利を調整したり紙幣の印刷量を調整したり、市場に介入する。
例えば、
インフレのときに金利を上げればクレジットの創出は抑えられ、ダメージが大きくなる前に物価を下げ始められる。
デフレのときに金利を下げればクレジットの創出を促進できて、ダメージが大きくなる前に物価を上げ始められる。

現在の日本はデフレを抜け出せず、金利をとても下げている。住宅ローンの貸出がここ数年伸びてきている等変化がみられるが、インフレ目標は達成されなかった。
それは大前研一氏の著作http://kazunotesu.jp/blog-entry-125.html?sp にある日本の将来への不安など、様々な社会的な心理が関わっていることが要因のように思われる。
投資家に役立つのみならず、社会の課題をより深く考えるのにも役立つ作品である。


・・・21世紀の人々の投資活動について考えた本

http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu
・・・アクセスVISION: 様々な市場や事業について考えているサイト

「佐藤オオキのスピード仕事術」佐藤オオキ著


デザインオフィスnendoの代表であり、スターバックス等飲食店の店舗設計や時計デザイン、キャラクターデザイン等を手がけるデザイナー、佐藤オオキさんによる仕事術の本。
毎週土曜にラジオ番組も手がけているので、そこで知るようになった人もいるかもしれない。http://www.j-wave.co.jp/original/laughsketch/
自然体でトークしていて、聴いているとリラックスする。今日の放送を聴いたところによれば作業BGMとして評判が良いらしいが、僕もそう思う。


(見解)
仕事はどんな仕事もやりかけではなく「保存して終了」することを心がけつつ、タイミングにより最も気分の乗る仕事は変わるので、取りかかるものはその時々で決める。打ち合わせの場でアイデアを30個くらい浮かべつつ、質問していって5個くらいまで決めこみ、その後のずれをなくす。
等々
(比較と特徴)
働くときの気分に注目して、どんな場面が最もアイデア思い浮かぶか、気分の動きとタスクをどのように調整するか等を考えているところが特徴だと思う。
コンサルタントの本でも早い段階でのクライアントとの認識合わせ等は出るだろうが、「最も集中力が高まるのが打ち合わせの場だからそこでアイデアをたくさん出して、少数まで決めこんでいく必要がある」という発想などは本書ならではだ。

クリエイティブな、感情や気分と直に向き合う仕事をする人からの仕事術の本は佐藤可士和さんの作品もある。超整理術などは、特にその考え方を体系的に述べてある一冊だ。
日頃のビジネス本とは別な視点からビジネスを考えたいときなど、これらの本を読むのが面白いと思う。

(参考になりそうな他のサイト)
http://www.asahi.com/and_w/interest/SDI2015012355151.html
日頃の仕事についてのインタビュー記事

https://casabrutus.com/special/raizin
佐藤オオキさん自身がインタビュアーとなっている複数の記事のまとめページ

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アクセスVISION:様々な事業や市場のこれからを考えているサイト
http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu

「聞き上手話し上手」佐藤可士和 著


ユニクロのカタカナロゴを作り出したことでも知られるクリエイター、佐藤可士和さんが喋りたい人にひたすら会いに行ったインタビューの総集編が本書。
雑誌「UOMO」の企画力なのか、著者のネームバリューなのか、竹中平蔵、大前研一、三木谷浩史、秋元康、太田光、亀田誠治、等々ものすごいメンバーだ。
「どうやって作ってるのか」という話が多くて、そこで気にすること・そこに乗せている目的意識は人それぞれ。
まるで雑誌の面白い記事の集大成であり、ラジオのインタビューのような対談であり、読んでいてとても楽しい作品だ。

(見解)
この本は多くの人との対談なので、その一つ一つに色々なメッセージが出ているが、佐藤可士和さんの発言を辿ると、

・(対談する人の経歴や作品を必ず知っていて、どこにどう感銘を受けたか簡潔にコメントしている。会いたい人に会いに行くのだから自然に知っているのだろうが、対談の序盤に必ず簡潔に伝えている)
・情報があふれ返る世の中だからこそ、その入り口となる外見はすごく大事
・自分一人が張り切っても、プロジェクトをまとめる力がないと、クリエイティブディレクターとは呼べない
・振り返ると「あんなの誰でもできるよ」って言われた仕事の方がいい仕事に分類できる。コンセプトが明快で印象に残る、でも本当は真似できない、ということなので
・いいデザインが浮かぶためにいちばん大事なのは「日常感」みたいなこと。面白い、つまんないと、あまり深く考えずにいろいろ思っているようなことがすごい大事
・注文の奥をちゃんと見て、クライアントが本当に望むことを探り当てて「こっちのほうがよかった」って思ってもらうのがプロの仕事
・顔とかファッション性にも、その人の表現がそのまま出る

…などなど、表現すること、作り出すことについて様々に見解を述べており、対談を通じて佐藤可士和さんのクリエイティブであり続けるための考え方にもふれることができる。ちなみに上記の列挙は、ほんの一部だ。

(比較と特徴)
佐藤可士和さんの本には「超整理術」(http://kazunotesu.jp/blog-entry-94.html?spで紹介)もあり、体系的にデザインの作り方を述べてくれている。
ただし読むときの楽しさでいえば「聞き上手話し上手」が圧倒的で、リラックスして読む内容が印象にしっかり残るというタイプの人にとってはこちらが良いだろう。
美術系のバックグラウンドを持ちつつ経営コンセプトにも深く関わる著者の考え方には、今後分野をまたいで仕事するようなときに指針となってくれる魅力があると感じている。

(参考になりそうな他のサイト)
http://www.13hw.com/interview/16_01.html
佐藤可士和さんがクリエイティブディレクターになるまでの道をインタビューしている記事

https://www.houdoukyoku.jp/posts/8888
佐藤可士和さんが奥さんと共にインタビューを受け、関係などを述べている記事


アクセスVISION:様々な事業について考えているサイト
http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu
「困ります、ファインマンさん」R.ファインマン著


この作品はノーベル物理学賞を受賞しており数々のエピソードでも知られるリチャード・ファインマン氏の回顧録である。
「ご冗談でしょう、ファインマンさん」という著作のエピソードは人柄の出た笑えるエピソード中心となっているが、本作品はファインマン氏の恋愛と結婚生活に加え、ロスアラモスの原爆開発プロジェクトやNASAのスペースシャトル事故調査委員会に携わったこと・そこから悩んだ末に出てきた考え(講演)が述べられており、作品の雰囲気が異なる。
また、「ご冗談でしょう~」は取っつきやすさからか本屋でもよく見かけるが、本書はあまり見かけない。しかし両方読んだ感想を言わせてもらえば、本書も(むしろ、本書の方が)人柄の伝わるエピソードが収められていて、それに加えて問題に対処する考え方や科学技術への洞察があり、面白い本である。



[ファインマン氏の洞察を数点紹介]
NASAのスペースシャトル事故であるチャレンジャー号事件は1986年に起きたロケット打ち上げの失敗で、アメリカの国威に関わる大事件であった。
この調査と問題解決のために組まれた委員会は当然各界のトップクラスの有識者をそろえたメンバーであり、ノーベル物理学者であったファインマン氏は中でも問題解決のキーパーソンであった。

彼の観察に出てくるポイントの、一例を挙げるとすれば次の文だ。
「こっちは理論的に起きる可能性のあることに基づいて質問をしているのだが、作業員の連中から見れば、僕は彼らの扱っている技術的な問題がツーカーで通じる相手に見えるわけだ。
工員たちはみるみるくつろいできて、組立作業で改良できる点などの、いろんな思いつきをしゃべりはじめた。」

理論物理学者であるファインマンは、問題となりうるポイントを仮説としておさえてあり、調査に乗り込む前に専門家を集めた1日がかりの勉強でドライブをかけた知識をもとに質問を進めていたのだ。単なる論理でなく、現場に活きている知識を理解していることは信頼関係を作り出す。
誇りをもって働いている職人気質であればあるほどそうだろうと思う。

本書は「科学の価値とは何か」という章でしめくくられる。ファインマン氏は理論物理学の優秀な若者として、原爆開発に携わり、うちひしがれ、1955年にもととなる講演を行った。
「科学があれほどの破壊をもたらしたのを目のあたりに見た僕は、自分がこれほど愛し、これほど全身全霊を打ちこんできた科学というものの価値とは、そもそも何なのか?という疑問につきあたった。僕は是が非でもその解答を見つけなければ気がすまなかった」という序文。
科学の価値として氏の述べていることのエッセンスを僕が一言でまとめるなら、それは「未来に選択肢をより多く残すこと」である。
もっというなら、科学があったことで人の想像力も実現力も高められてきた。科学の追求は知識への誠実さをもととしており、その成果の確立は民主主義の確立とも時期が重なるという。
「着実に進歩を重ねてゆくためには、自分の無知を悟り、疑問の余地を残すということ、これこそが最も重要なことであると私たちは学んできました。」
科学に疎い人でも、本書は本当に楽しく読める。僕自身文系だったが、本当に楽しかった。おすすめの本だ。
(参考になるサイト)
YouTubeに、ファインマン氏の業績とインタビューをまとめている動画がある。但し英語だ。
https://youtu.be/LyqleIxXTpw



http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu
アクセスVISION: 事業や業界の動向について、僕の見解を述べているサイト

「フリー」クリス・アンダーソン著


本書は科学雑誌「wired」の編集長を10年務め、その後起業して経営者となっている人物が経済活動の新たな視点を提起する本だ。
あらゆるデジタルサービスが無料化を進めているが、それはコンテンツを無料で配信することとなる作り手にとって必ずしもマイナスではない、という考えを掘り下げている所は現代のビジネスモデルを考えるのに有用だと思う。

[見解]
無料ビジネスは「一部だけ無料」「第三者から料金獲得」「特別なものだけ有料(フリーミアムと呼ばれる)」の3パターンあり、これらは従来から存在していた。しかし無料化しやすいデジタル情報が増えており、今後特に注目されていく。
[内容]
ファンを得るまでは無料で活動するアーティストや無料試供品など、無料ビジネスはもともと存在していたが、これからサービスの一部をYouTubeで無料配信する、ゲームの一部だけ無料で遊べるなどデジタルを絡めた無料ビジネスが増える。
この直近の例では、TEDが内容を無料配信しつつも来場チケットを高値で売ることに成功していることなどを挙げている。
また、広告掲載で収益をあげ、利用者は無料というビジネスは既に多く成り立っている。

[比較と特徴]
デジタル技術の活用方法の1つとしての無料化活用ビジネスにテーマをしぼり、具体例をあげながら説明している所が特徴だ。
他にデジタル技術のビジネスへの活用を提案する本には大前研一氏の著作「テクノロジー4.0http://kazunotesu.jp/blog-entry-119.html?sp」がある。
比較対象を挙げたものの本書の内容は無料化だけを扱う点でとても独特なので、内容の気になる方は書店の立ち読みでも、実際に読んでみるのが良いだろう。






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kazunori

Author:kazunori
こんにちは。読書アクセスを運営しておりますカズノリといいます。
趣味は読書とラジオを聴くことです。
本屋をぶらつくのが好きで、仕事帰りや休日に歩き回っています。ネットで色々なサイトも見ながら本の情報を仕入れては、家やカフェ、通勤途中で、読書をして考えごとを巡らせています。

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