読書アクセス
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『思考スピードの経営』(ビル・ゲイツ著)



マイクロソフト社を創業した、ビル・ゲイツの作品。20世紀末に記された本ながら、さすがにデジタル時代を作り出したリーダーの1人というべきか、内容は今も有益だ。
・史上初めて、あらゆる形の情報-数字、文章、音声、映像-がデジタル形式で表現されるようになり、それをどんなコンピューターでも蓄積、加工、転送することが可能になってきた
・史上初めて、標準のソフトウェアのプラットフォームと標準のハードウェアが組み合わさって規模の経済を創出出来るようになり、どんな規模の会社にも強力なソリューションを安い値段で与えてくれるようになった
という点をとらえてデジタル時代と述べているこの時代を、企業や個人はどう活用していけるのかを述べている。


(作品の見解)
デジタル時代に、企業は統合化された情報の流れを実装する。これはデジタル・ナーバス・システムというべきもので、洞察力と協働をもたらす。
このことは、ビジネスに必要な三大要素(顧客や提携業者との関係、従業員、業務プロセス)を全て変革する。
その変革は特に、
・消費者や企業との取引のデジタル移行
・社内の知識や情報の管理方法のデジタル移行
・デジタルでの自動化や効率化、顧客関係強化
という三つのアプローチで進む

(細かい内容)
読んで頂けるとわかるが、上記は序論をまとめただけだ。以降約600ページにわたり、具体的な変化(使うツール、企業の成しうる工夫、人事の変化、ライフスタイルの変化)やあるべき対応策、実例(マイクロソフト社を含む)を伝えている。
ツールはもちろん、その後色々な企業が出てきて強化してきた。(Googleもこの本出版の後)
しかし考え方は、今の企業がIT戦略として説明するようなものを既に予見している。

(比較、参考)
デジタル時代を知ることについて、他の本だと、デジタル時代の経営をGoogle社長エリック・シュミットが説明する『How Google Works』が優れている。
文化やとるべき戦略など、デジタルサービス創出側の企業目線から述べているのがエリック・シュミット、その顧客としてデジタル化にとりくむ企業の目線から述べているのが本書という整理ができる。
いずれも400ページを超える作品なので、他にもっと軽い本を探すとすれば、大前研一氏がデジタル時代の戦略について述べたいくつかの本を読むことで考え方をいくつかおさえられると思う。
Web記事で言えば、デジタル化と企業の関係を述べているのは下記が優れていると思っている。

https://meti-journal.jp/p/38
冨山和彦氏が、わかりやすく具体例を出しながらデジタル化の威力を説明している記事

https://japan.zdnet.com/article/35108430/
デジタル化サービスの第一人者、マーク・ベニオフ氏が考えるプラットフォーム化の力、教育の高度化の必要性が述べられている

(その他)
https://blog.goo.ne.jp/kazunotesu
アクセスVISION:様々な事業や市場について、その動向を考えているサイト

http://topicvision.jugem.jp/
トピックVISION:様々な話題について情報の整理をしているサイト
「大変化~経済学が教える2020年の日本と世界」竹中平蔵著


日本の経済政策立案の主要メンバーとして活躍してきた著者による、2020年までの展望。
2020年というのはもちろん東京オリンピックを意識してのもので、この一大イベントを日本成長にいかに役立てるか、その施策を述べている。
あわせて経済社会の変革がどのように起こると予測するかを解説しているため、読者にとっては自身の行動指針になるような本となっている。

(見解)
日本にはイノベーションを起こさなければ成長できない時代が来る。そのとき、英語が出来たり仲間と連携することが個人にとっての戦力となる。施策としては、三大都市圏をリニアでつないで連携を深めること、再生エネルギー技術開発を後押しすることをしていく。また、農業や観光業について規制改革を進めて競争しやすくする。
働き方改革は、雇用制度の基本を変えて、人々が専門能力によって色々な組織を動きながらプロジェクトを進める働き方の社会になるまで行う。
社会保障は、富裕層高齢者に渡る支出を止めて若者へと政府支出を移すような施策を打つが、富裕層の努力は認め、課税は伸ばさないようにする。

(比較と解説)
経営者やコンサルタントの本と比べ、実務というより政策立案の目線からこれからの成長に向けた話を展開している。その一方で、学術の本と異なり今後数年を射程とした具体的なメッセージも出ている。
働き方改革の話は生産性の本や様々なテクニックの本が出ているが、政策立案の主要メンバーが専門家として様々な組織をまたいで働く社会像を打ち出している本書の内容をみると、一般的な現場の努力話以上に本格的な変化が想定されていると見るべきだろう。

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/hatarakikata.html
首相官邸の取組みの様子:働き方の現状課題と施策、2016年までのロードマップなど具体的内容と実現度合いが確認できる。

http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu
アクセスVISION :様々な事業の動向を考えているサイト
「国家はなぜ衰退するのか」(ダロン・アセモグル他著)


社会制度と経済発展の関連性について、世界の歴史をひもときながら究明している名著。上下2巻で600ページほどで、多くの事例が整理整頓されている。
論文のように理論がずらずらと並べられているのではなく、そこに存在した人物のストーリーにも言及しながら説明を進めている部分もあるなど、受験勉強の世界史よりも面白い。しかも現代社会の経済の様々な現象を世界トップクラスの大学教授が問い直している作品なので、高校生からおすすめである。


(見解)
著者の見解は、既存権力層の不正のない、人々の政治権力が幅広く認められた社会が経済発展に必須だという一点にある。
そんな社会であるために、民主主義による権力監視が機能することが必要で、人権思想が普及することが必要なのだ。
(内容)
そんな社会でないところでどんなことが起きてきたのか、社会の変化が起きたときにどんな経済の変化が起きたのか、それら歴史上の例を示しながら、その見解を論理構築している。
変化の例として、フランス革命、明治維新といった近代史の出来事から、ヴェネツィアの法制度改革、中世農地制度といった過去の話、南アフリカの二重経済やエジプトの革命といった20~21世紀の話まで扱っている。

最大の事例は産業革命を成し遂げたイングランドと、それを可能にした名誉革命(1688)だ。
絶対王政から議会主導へと権力の移行が起きたとき、取れるだけ税金をかけたり専売許可にしたり所有権を制限したりと王家に利益をもたらす社会制度へのインセンティブは失われ、
代わりに議会と関わる国内全ての事業者の利益を追求するべく所有権の保護や専売の廃止、公正な競争のルールが持ち込まれたことで、
事業者がお金持ちから資金を調達してどんどん新たな事業に乗り込む土壌が出来たのだ。それがその後の西欧文明の優位を作り出した一つの大きな要因なのである。

事業環境に影響を与えるものとして技術に光をあてている作品にはケヴィン・ケリー氏の著作など最近いくつかの名著があるし、政治制度についても多くの本が出されている。後者に関しては、本作が最高のものと思う。急速な技術の進歩や政治制度の不安定を背景にこれらを扱う本が多く出てきているが、本書を読めば他の政治制度系の本は網羅出来るのではないだろうか。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%A9%E5%88%A9%E3%81%AE%E7%AB%A0%E5%85%B8
権利の章典:名誉革命で作られ、今もイギリスで有効な法文。名誉革命の性質を示している。

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アクセスVISION:様々な事業について統計等から動向を探っているサイト
「事業論」カズノリ著


本書は、事業についての理論を社会・事業・人という連関の中で述べた1冊である。
技術や政治制度など社会の変化との関連性、事業に関わる人との在り方の理論など、全方位的に事業を述べている点が他の作品との違いである。



(内容構成)
社会環境と事業の関係・事業を営む組織・事業価値への評価という観点から、事業を論じてきた過去の複数の名著を紹介しつつ、その理論の整合性や適応する条件を考えている。
三編構造であり、第三編の「事業と人」についてでは、人の個人的な目標追求と事業に参加することの関連を考えるため、7つの習慣など他分野の作品も参照しつつ考えを拡張している。

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アクセスVISION:様々な事業や市場について考えているサイト
2017年を振り返って


今年も、いよいよ大晦日である。
2017年には、アクセスVISION
http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu
の拡大と、トピックVISION
http://topicvision.jugem.jp/
の新設、東京探検ゲーム
https://tokyoeg.blogspot.jp/2017/11/start.html?m=1
の新設があった。
東京探検ゲームはこの一週間アメリカからしかアクセスがないという結果になっているが、日本の僕の好きなアーティストのYouTube動画やいくつかの僕の写真が日本への理解につながっていると考えると、意味があったと思う。

2018年はさらに、
優れた読みものへのアクセスを充実させていき、
さらにそこで得た知識を自ら活用して事業動向の予測を伝えることを継続することを強化し、
事業以外についての様々なトピックの情報整理も少しずつ行っていきたい。
事業動向の予測は、当たり外れの確認も定量的に行い、教科書や新書を超える本当に力のある理論を構築する。それはいずれ、実際に力のある事業を育み、作り出すことに寄与するはずだ。

株式で見るかぎり、2017年は日経平均以上にスクリーン関連事業の銘柄全般が伸びており、未来予測の投資論に述べる予測は当たっていた。
けれども未来予測の投資論は、事業のからくりを解き明かし、もっと構造的に説明を加える余地を残している。
事業が多く組み合わさって社会を形成しているその構造について、事業の中に人の作業が多く組み込まれているその構造について。

おそらく読みものは十分に集めているので、それを再整理して動向予測の背景装置とするに十分なくらい仕上げるのが2018年初め(休みの多い1月上旬)の仕事だ。

今年も、記事を読んでいただきありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
「地球の論点」スチュアート・ブラント著


地球全体の出来事について常に関心をもち、かつてはホールアース・カタログも記した人物による作品。著者は、興味の赴くままに雑誌編集する編集長兼活動家という印象だ。
この本では地球環境に対して焦点をあてて話が始まっている。

(見解)
著者の調べでは、地球の気候システムは本書の出た2011年で解明されておらず、1万3000年前の気温15度低下や5500万年前の水温8度上昇なども再発防止策は不明。
気候システムと経済システムが調和するように、気候システムの解明に力を向け、動きをチェックする意識が必要だと述べる。
また、生態系については、人類による変化の歴史は長く自然なことであり、遺伝子組み換えを含むバイオテクノロジーが合成生物学として21世紀を牽引するのは間違いないと述べる。

(内容)
気候システムの調査や世界中への取材による話が散りばめられた一冊。ケビン・ケリーの著作といい、アメリカには世界中の見聞をまとめたような作品が多くある印象である。
本書で上記の見解の他に印象的だったのは、日本のかつての経済成長と直近の停滞の説明を、労働人口の動きそのものと述べているところだ。
デービット・アトキンソンも著作http://kazunotesu.jp/blog-entry-143.html?spで同じことをより根拠をつけて述べていたが、海外から現象だけを素直にみるとそのように考え至るのだろう。
「技術の強さ、職人技etc.」を作り出すのも人なので、人が多ければ育つ可能性も高いというのも一理あるように思う。
日本の文化や教育熱心な風土も影響はあると思うが、人がいてこそである。

未来予測の本としては、地球環境という論点が他の本と比べて新しい。本書を読むことで、地球の気候や生態系への意識は少し深まると感じる。
(参考)
http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/19/10-11.html
国立環境研究所による、スーパーコンピューターの活用による気候予測の説明。コンピューターやセンサーの性能の高まりにより、今後さらに精度が高まっていくのだろう。

(その他)
http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu
アクセスVISION:様々な事業の動向を考えている斉藤
「企業価値4倍のマネジメント」火浦俊彦著


企業経営について、ベイン社における戦略の定型的な設計方法とオペレーション体制を述べた本。
ベイン社はすかいらーくの再建などを成し遂げたベインキャピタルを立ち上げたりと、その知見の活用を本業の経営コンサルティングからさらに広げてきた企業としても知られる(資本関係はないらしい)。
戦略策定での必要な考慮事項が多くあるため、気を付けながら何度も繰り返し策定して上手になっていくのだろう。


(概要)
・企業戦略と事業戦略は分けて考えるべきもので、企業戦略では本社と事業部の役割を規定することが必要。
・事業戦略は「外部分析、事業のライフステージ分析、市場定義、トップシェアをとるための戦略、目標数値と個別施策を結びつけて明確な設計図にすること」が必要。
・KPIを現場の行動→現場の成果→財務成果と3階層で設定することが計画実行のために必要。
・戦略を作ったらその実現にフォーカスして設計された組織を作り出すことが必要。注目するのは意思決定のプロセスに関わる人の定義で、「起案・情報提供・規制等調査・意思決定・実行」の5段階について効率化・役割明確化をしていること。
・財務指標以外に、事業の実態をみるためには顧客の感動体験を測る指標をもつことが必要。「友人にすすめるか」の指標を使うのが現状最も効果的。

(比較と特徴)
大前研一氏や冨山和彦氏の著作の方が内容は簡潔であり、全体感をつかんで動くのには良いだろうし事業を自ら進める人にもおそらく効果的だろう。
本書は「特に大企業の組織と向き合いながら業務を進める時」に役に立つような細かさ、具体的図表の取り込みようであり、大企業で実務として詳細まで考える必要に迫られた場合に読むものではないかという読後の感想をもった。ただしそのような場面であれば力を発揮してくれるはずだ。

(参考)
http://diamond.jp/articles/-/54404
著者がコンサルタントとして考えていることについて述べているインタビュー

https://industry-co-creation.com/management/5009
著者が登壇者の一人となって経営者に求められるメンタリティを述べている会議の議事録。当サイトで著作を扱った熊谷正寿氏も出ている。

(その他)
事業分析と動向予測:アクセスVISIONの背景にある論理や技術について図表化しつつ整理した本
http://amzn.to/2Aqz7jU

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「デジタルマーケティングの教科書」牧田幸裕著


デジタルマーケティングについて、戦略コンサルティングやIBMでの業務経験を積んできた著者が解説する本。
マーケティングの基本プロセス、そこにデジタル技術が起こす変革を述べている。
現在はスマートフォンの普及率が急速に高まり(H29情報通信白書で、日本は20代、30代の保有率が90%を超えている)、スクリーンも日常目にする機会が日に日に増えてきているデジタル化の過程にある。デジタル化のビジネス影響を知ることの重要性を感じている方は多いに違いない。この本はそのうちマーケティングについて様々な考え方を分かりやすくまとめてある良書である。



(概要)
マーケティングのプロセスは
①環境分析: 政治、経済、人口動態や行動様式、テクノロジーのうち事業に関わるものの分析
②戦略立案: 顧客のセグメント分け、成長性やアプローチ可能性でターゲティング、差別化の方針確定
③戦略実行: 施策をどんどん試していく
④戦略管理: 戦略が当たっているか指標を測定しつつ判断、施策に改良を加えたり取捨選択を進める

という順で進めていく。
このうちデジタル化は消費者の行動様式に変化を加え、企業からのアプローチ方法にも変化を加えてきている。
消費者は購入前にスマホでの検索、購入後にレビューの共有を行うようになったし、
企業はリアル店舗とオンラインサービスを連携し、一人一人に最適化された顧客体験や物流の効率化を実現するようになった。

(比較と特徴)
現代のマーケティングの本は本書でも引用される有識者であるコトラーからも出ている(当サイトの記事)が、特にデジタルとマーケティングの話を深堀りし、さらに日本での2017年後半までの先進的な事例を解説してくれているという点で本書は特徴的である。

(参考)
デジタルマーケティングの実践についての日本コカ・コーラ担当者インタビュー記事
http://www.cocacola.co.jp/stories/digital_marketing
アプリを展開してアプローチしてきた経験が述べられており、スピーディーに試して改善することがデジタルマーケティングに効果をもつのだろうと考えられる。

https://webtan.impress.co.jp/e/2016/11/15/23742
コンサルティングの大手アクセンチュアのディレクターによるデジタルマーケティングのインタビュー記事。
業務の現場で役立つKPI(成否の指標)の設定と、管理を責任もって行える組織の設立が成功の鍵であるということが述べられている。

以上から分かるのは、マーケティング施策のターゲットやメッセージなどの戦略を定めたら責任組織とKPIの一覧表を作り、スピーディーに実施と改善をするのが良いということた

(その他)
アクセスVISION:様々な事業について動向を考えているサイト
http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu

未来予測の投資論:未来予測の考え方を述べ、投資に活かす理論を述べた本
http://amzn.to/2ickgOC
「武器としての経済学」大前研一著


大前研一氏の、2017年現在の経済トピックに対する答えを集めた作品。
具体的には国債とインフレリスク、日本の株式と不動産、老後への政府方針、中国経済、銀行の将来像といった内容である。
(論拠の要点はメッセージが明確ながら、それぞれ簡潔にまとめられているレベルにとどまる新書形式だ。
本当に自らの投資判断とするには統計やその時々の変化要素も確認する必要があるだろう。)


(内容)
大前氏の他の作品と一貫しつつ、さらに論理を進めている。
例えば消費拡大政策について、「生前贈与しても後から遡って計算して納付させる」現行形式の分かりにくさを撤廃し、年金破綻を宣言しつつ老後への政府サポートを約束して財産相続を加速するなどの内容だ。
政府サポートや相続加速は前の本でも言っていたが、税制まで具体的にふみこんだのはこの本が多分初めてだ。
また、銀行については預金と決済による付加価値提供機会がなくなっていくことを認め、その能力をビジネス創出に使うべきだと主張している。フィンテックの普及に対しての明確なメッセージが出ているのだ。

(比較と特徴)
経済にスポットを当てているため、細かくビジネスモデルの成功要因などまでを見ているわけではないが、方針策定の際に気にするべきトピックをアドバイスしてくれている本という印象だ。経済を考えるのに読んだ方が良い一冊だろう。
(お金の余裕はないが時間はあるという方なら、立ち読みでもおおよその内容はつかめる類いの本であるとも思った)

(参考)
http://diamond.jp/articles/-/211
ダイアモンド誌のインタビューで、「人脈」についての考え方を大前氏本人の実践も含めて語っている。

http://k-tsushin.jp/interview/bbt757/
海外進出など、実際の経済活動をする人側の注意するべきことを述べているインタビュー記事。


再分配システム設計業務


※本記事は、普段アクセスVISION (http://blog.goo.ne.jp/kazunotesu)で記している事業や市場の動向記事の特別版だ。
(長めの記事になることが予測され、広告が極端に多いgooブログを避けた)

デジタル化の進む世の中にあって、僕たちは様々な業務効率化、作業の自動化を目の当たりにしている。
2016年12月に出された内閣府の統計(平成27年度国民経済計算:フロー編)によれば、国民総所得(大雑把に言えば、個人の所得+資産配当+企業の利益)について
1994年度には総額368兆円→2015年度には総額388兆円と、大体20年で5%増えている。
(ちなみにこのデータを見にいって、
・1994年度には給与総額262兆円→2015年度には給与総額263兆円
・1994年度には企業利益65兆円→2015年度には企業利益99兆円
という結果であることに気づく人がいるかもしれないが、この20年に生産年齢人口は8700万人から7700万人へと減っているので、実質的に給与水準は豊かになっている。
失業率も低く、今の論点はほぼ労働者間の給与格差にしぼられていると言えるだろう。)

直近20年の、労働者が減る環境下で約5%伸びた富は、効率化の賜物である。そしてここからは、減りつつある働いている人々への富の集中が推測される。
野村総研の調査(https://www.nri.com/jp/news/2016/161128_1.aspx)・金融広報委員会調査によれば日本に約5000万世帯あるうち約100万世帯が金融資産一億円超である一方で、半数以上は一千万円を下回る。

当然、日本よりも失業率が高かったり報酬格差に寛容な他国では、さらなる格差が存在することだろう。
この格差は、デジタル化が技術力のある人々に富を集中させる特性をもつことから、「単純作業のロボット代替」等を通して広がることが予測される。
放っておけば反発は何かの形で噴出していくだろう(例えば産業革命では資本家への反発で共産主義の革命が起きた)。
かといって再分配をきつくしすぎれば自発的な労働へのインセンティブが失われ、社会全体が停滞する(20世紀の社会主義国は相対的に貧しい)。

そこで必要とされてくる業務の1つは、上記のような両極のトラブルを起こさない再分配システムの設計業務だ。
業務プロセスは次の通り。
①成功者の出した成果のうち「その人個人の努力によるもの」「社会制度のサポートによるもの」を情報整理する
②人々の感情、報酬体系、税制度、法制度等への理解をもとに適切な調整システムを設計する
③様々な場で提案・意見調整をおこない、報酬を受けとる

これは具体的には様々な形をとるだろう。
議員、官僚、政府の委員会委員、企業の人事部、このテーマを扱う本やブログの作者、このテーマを扱う学問の研究者などだ。
競争のポイントは共通で、
①について整理の正確さと分かりやすさ、
②について現行のシステムや同時代の人々の感情への理解の深さ、
③について表現や話し合いの上手さ
である。

現在はニュースを見て分かるとおり、富の分配についての不満が選挙などで意外性さえ伴って表面化する時期に入っている。
意外性があったというのは、情報流通に携わるような人々(新聞やニュース番組の作り手や対象視聴者であり、経済力を比較的持つ人々と推測される)が思っていた以上に再分配が上手く進んでいなかったということであり、
その表面化に対応を迫られていることからは、再分配システム設計業務にお金が動くということである。
それでは解決までに、今後どのような動きが出てくるだろうか?

かつての産業革命のときと違うのは、多くの生身の意見がインターネットを通して表れるだろうことだ。
「勉強や仕事に多くを費やしてきたのに、私的な幸せをあまり得られない不満(それなのに再分配させられるのか、という声)」「日々の労働の中で感じるリアルな賃金格差への怒りの声」等々、遠い境遇の人々についても生身の声を聞くことになることは間違いない。
そしてこのことは、今回の富の再分配問題がより深く感情の問題に結びつくことを予測させる。
富の再分配論争は、お金がないから始まるのではなく、幸せに生きられないと思う人々が多く現れるから起こるからだ。幸せに生きていけるシステムだ、という納得を広く得られるまで本質的に続くことになるだろう。
そしてシステム設計は経済だけでなく、一般的に個人の人生がどのように進むか、そこでどのように幸せを見つけていくのかというレベルまで深められるだろう。(ここまで考えなければ、競争相手と差別化して勝てなくなるはずだ)

これはビジネスチャンスと言える。
再分配システムの設計に関わる知識やデータを集め、然るべき職務につけば利益を得られるというチャンスが、学問的な専門家にとどまらず広く開かれているということだからだ。
例えば特定の生活環境にある人が、同じような環境の人々の感情を整理して表現でき、解決する修正案を出せるのであれば、それが注目を集める可能性もある。ネット広告事業のような収益モデルを組むことも可能だ。

以上から、
再分配システム設計業務はデジタル技術の発展に伴って必要とされてきており、
今後はその解決に「過去のどの時代よりも精密な感情への考慮」が含まれるようになる。このテーマを扱う選挙やニュース報道、書籍やブログ、研究はそうした内容になっていく
というのが僕の見解である。

(参考)
幸せについて75年以上研究プロジェクトを行っているハーバード大学が見解を述べている動画(日本語字幕付き)
https://www.ted.com/talks/robert_waldinger_what_makes_a_good_life_lessons_from_the_longest_study_on_happiness?language=ja
人間関係の質(本人の本当の満足度)と健康面・精神面の幸福度の相関を指摘している。長く当たり前に言われてきたことなのに地道な努力を必要とするもので、自ら人間関係を形成していく努力を必要とするのだ、と述べる。

日本の格差を様々な観点から分析した内閣府調査(委託先:みずほ総研)
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2015/__icsFiles/afieldfile/2015/08/27/27zen17kai7.pdf
格差の経済指標で実体としてみたり、アンケートで感情面もある程度リサーチしたりしているレポート。

いろいろな幸福論の古典について述べた記事
http://kazunotesu.jp/blog-entry-40.html?sp


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こんにちは。読書アクセスを運営しておりますカズノリといいます。
趣味は読書とラジオを聴くことです。
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